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(書評)迫りくる自分

著者:似鳥鶏

迫りくる自分迫りくる自分
(2014/02/19)
似鳥 鶏

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大手コンビニチェーンの店舗管理担当者である本田はある日、自分とそっくりな男と出会う。次藤と名乗るその男とバーで飲み、不愉快な気持ちになったその後、彼の周辺で奇妙な出来事が起こり始める。そして、本田は、同期の女性が暴行された事件の犯人として、警察に追われることになってしまい……
著者は、こういう作品も書くんだ。まず思ったのはそんなこと。
著者の作品というと、デビュー作からの葉山くんシリーズ。「動物園」シリーズ、「戦力外捜査官」シリーズなどがあるわけだけど、どちらかと言うと日常の謎的なミステリ。そして、ユーモアを交えたもの、という印象が強い。しかし、本作は最初から最後までシリアスなサスペンス作品となっている。
物語は冒頭に書いたように、ある日、自分そっくりな自分とであった本田が、なぜか婦女暴行犯として警察に追われる、という物語。自分そっくりな男・次藤にはめられた。しかし、それを証明するものは無く、状況証拠は本田が犯人と示す。自らの無実を証明するため、次藤を捕らえるべく、警察から逃れる。
テンポの良さ。これまでにない緊迫感。そのおかでどんどん読み進めることが出来たのは確か。そういう意味では最後まで読ませる力がある。ただし、よくよく考えるとかなり無理のある展開・設定。
例えば、いきなり同期の女性に対する婦女暴行で逮捕されかけるのだけど、いくら被害者が「犯人は本田」と言ったところで、それだけで断定するだろうか? しかも、本田自身が言うように、まるっきり瓜二つ、というわけではないだろう。さらに次藤にしても、本田が過去に起こした事件がきっかけで転落した、というにしても幼少この頃から現在とずっとそっくりで、しかも、故郷から離れたところで再会して……なんていうのは流石に出来すぎ。そもそも、そんなにそっくりなら、昔、彼一人が疑われる、ということはなかったのでは? 警察からの逃亡の際に、っていうのを抜きにしても、そういうのを考えると、どれだけの偶然が重なるんだ? ってことになってしまう。
新鮮味はあったものの、出来としてはいまひとつ、かな?

No.3428

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