著者:十市社
高校入学をし、1ヶ月あまり経った頃に起こしたある失敗により、クラスでも孤立した少年・一居士架。「幽霊」と呼ばれ、話しかけられることも無い彼の生活は、席替えにより、玖波高町という少女が前に来たことで一変する。文化祭での発表の手伝いをするため、図書室で共に過ごすことになった彼は、高町の意図を汲み取れないながらも、安らぎを見出すのだが……
元々、Amazonの電子書籍関連で、上下巻で発表したものを下敷きに大幅に改稿したのが本作とのこと。それを読んで、何と無く納得することが出来た。
物語は、元々、上下巻だった、というのを感じるように、前半は架自信のことについて。後半は高町のことについて、で、展開する。
周囲から「幽霊」と呼ばれ、完全に無視された存在として描かれる架。そんな彼は、自らも心を閉ざし、周囲の音が文字通り「ノイズ」としてしか耳に入らなくなることがある。
そんな設定で展開するのだけど、なるほど、設定が上手いな、と感じる部分はしばしばある。例えば、「ノイズ」というのなどがそうなのだけど、周囲から孤立し、文字通り「幽霊」扱いされる彼だからこそ、自らも周囲を人間として認識したくない、と感じることは多々あるだろう。それをノイズにしかならない、というのもそうだし、でも、それが強くなれば拒絶するほどの嫌悪感にも、なんていうのは絶対にあると思う。その辺りの心理描写は私は親近感を感じる。さらに、物語の主軸の一つである主人公の「見たもの」の主観性というのも、これもまた、人間の認知能力とか、そういうのを感じられ決して悪いとは思わなかった。
ただ……それでも、あまり物語としては上手くないな、と感じたり。
というのも、「結局、それは何だったの?」と感じるところがいくつかあったり、いくら主観的になるとはいえ、そこまで極端に走るか? と言う風に感じるから。客観的な証拠のようなものがあっても、その中で都合の良いところだけを取り出す、というのはあること。でも、そういうのがほとんど無く、ではどうにも無理に感じるのだ。また、それを描くためにノイズが都合よく使われている、と感じるところもあったし。
部分部分では良いと思うところがあるのだけど、物語り全体を通すとちょっと「?」が目立ったかな、という印象。
No.3446

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高校入学をし、1ヶ月あまり経った頃に起こしたある失敗により、クラスでも孤立した少年・一居士架。「幽霊」と呼ばれ、話しかけられることも無い彼の生活は、席替えにより、玖波高町という少女が前に来たことで一変する。文化祭での発表の手伝いをするため、図書室で共に過ごすことになった彼は、高町の意図を汲み取れないながらも、安らぎを見出すのだが……
元々、Amazonの電子書籍関連で、上下巻で発表したものを下敷きに大幅に改稿したのが本作とのこと。それを読んで、何と無く納得することが出来た。
物語は、元々、上下巻だった、というのを感じるように、前半は架自信のことについて。後半は高町のことについて、で、展開する。
周囲から「幽霊」と呼ばれ、完全に無視された存在として描かれる架。そんな彼は、自らも心を閉ざし、周囲の音が文字通り「ノイズ」としてしか耳に入らなくなることがある。
そんな設定で展開するのだけど、なるほど、設定が上手いな、と感じる部分はしばしばある。例えば、「ノイズ」というのなどがそうなのだけど、周囲から孤立し、文字通り「幽霊」扱いされる彼だからこそ、自らも周囲を人間として認識したくない、と感じることは多々あるだろう。それをノイズにしかならない、というのもそうだし、でも、それが強くなれば拒絶するほどの嫌悪感にも、なんていうのは絶対にあると思う。その辺りの心理描写は私は親近感を感じる。さらに、物語の主軸の一つである主人公の「見たもの」の主観性というのも、これもまた、人間の認知能力とか、そういうのを感じられ決して悪いとは思わなかった。
ただ……それでも、あまり物語としては上手くないな、と感じたり。
というのも、「結局、それは何だったの?」と感じるところがいくつかあったり、いくら主観的になるとはいえ、そこまで極端に走るか? と言う風に感じるから。客観的な証拠のようなものがあっても、その中で都合の良いところだけを取り出す、というのはあること。でも、そういうのがほとんど無く、ではどうにも無理に感じるのだ。また、それを描くためにノイズが都合よく使われている、と感じるところもあったし。
部分部分では良いと思うところがあるのだけど、物語り全体を通すとちょっと「?」が目立ったかな、という印象。
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