(書評)魔法使いと刑事たちの夏

著者:東川篤哉

魔法使いと刑事たちの夏魔法使いと刑事たちの夏
(2014/07/31)
東川 篤哉

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小山田邸で家政婦として働くようになったマリィ。聡介の父・鉄二のセクハラを適度にかわしつつ、家事をこなし、聡介の持ち帰る事件に首を突っ込もうとして……
てな感じの連作短編シリーズ第2弾。全4編を収録。
物語の形は、シリーズ第1弾である『魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?』と同じ。冒頭に、倒述形式で事件が起きるまでが描かれる。そして、事件を捜査する総介の視点になり、そこへ首を突っ込んできたマリィが魔法で犯人に自白させる。しかし、それだけでは証拠能力がないので、小山田が犯人がその犯人のアリバイなどを崩して自白させて一件落着、というもの。
そういうパターンは相変わらずなのだけど、個人的には第2弾となった本作の方が物語がこなれてきた、と感じる。特に大きいのは、マリィの関わり方。前作では、事件が起きた邸宅でマリィが「偶然」家政婦として働いていて……とかなり無理があるものだったのに対し、本作では小山田刑事の自宅で働いているだけに首を突っ込んでくるのも自然になっている。
収録作ですきなのは2編目の『死者からの伝言』。
これはいわゆる「暗号モノ」になるのだけど、被害者が残した暗号は「く」の字。しかし、それは犯人により発見され、改ざんされていた。では、その暗号は一体、何だったのか? その正体の意外な発見のされ方などはなかなか斬新で面白かった。……まぁ、そんな短時間で? と思わないではないこともないのだが……そこはそこ……
まぁ、アリバイを崩して、というけど、かなり一点突端な崩し方だし、それ以外の大半は犯人の自供ということで、実際は逮捕したあと公判が維持できるのか? とか、現実的な疑問はある。でも、着実に作品としては前作よりよくなっていると感じた。
……ところで……
表紙イラストでは、水着姿のマリィと、椿警部が描かれている。作中では、倍くらい、年齢が違う、とか散々書かれているのだが……イラストを見ているとタイプこそ違えども(明るい少女マリィと、マジメな委員長っぽい椿警部、という感じ)、そういう年齢差を感じない(笑) まぁ、どーでもいいけど。

No.3544

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