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(書評)水底の棘 法医昆虫学捜査官

著者:川瀬七緒

水底の棘 法医昆虫学捜査官水底の棘 法医昆虫学捜査官
(2014/07/18)
川瀬 七緒

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11月。荒川での害虫駆除をしていた赤堀は、中洲に男性の遺体を発見する。虫や鳥により、損傷の激しい遺体の身元は不明。それを探る鍵となるのは肥満した体と、一本のドライバー。腕に彫られた刺青。そして、遺体についていた虫の前脚や棘……
ということで、シリーズ第3作。
何と言うか……この作品、物凄いことをしているのではないか、という気がする。
内容なのだけど……先に書いたように、遺体は誰なのか? という謎。刺青とドライバーから探ろうとする刑事・岩楯と鰐川だが、ドライバーはありふれたものだし、刺青は損傷のせいで全体図が見えない。一方、赤堀は死体についていた虫から事件の時間を探るが、孵化の時間などにおかしな部分がある。さらに、その時間の割には損傷が激し過ぎる。何よりも、遺体についていたカマキリと思しき破片と、毛虫と思しき破片は一体何なのか? そもそも、これらは遺体には関係がないはずなのに、偶然に、そこにいたのだとすれば量が多すぎる。
とにかく、この作品の凄いところは、展開としてはただひたすらに「遺体は誰なのか?」ということを探るだけ、という点。340頁ほどあるのだけど、連続殺人とか、そういうのは起きないし、ひっくり返しがあるとか、そういうわけでもない。けれども、冗長ということは決してなくて、最後まで読ませる。恐ろしく地味な話を最後まで引っ張る、というのは著者の凄さを示すものではなかろうか?
これまでと比べると、ウジ虫描写は少なくなった分、その辺りについて苦手な人にも読みやすくなったんじゃないかと思う。まぁ、今回のポイントとなる生物について調べて、それが損傷させていた、と言う状況を想像すると……ではあるんだけど。でも、直接描写はないのでご安心を(笑)
繰り返しになるけど、地味な展開だけど、最後まで読ませる。著者の力が存分に感じられる一冊。

No.3549

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