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(書評)機龍警察

著者:月村了衛

機龍警察(ハヤカワ文庫JA)機龍警察(ハヤカワ文庫JA)
(2010/03/19)
月村 了衛

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大量破壊兵器の衰退に伴い台頭してきた近接戦闘兵器・装甲機兵。『龍機兵』と呼ばれる新型兵器を導入した警視庁特捜部は、その搭乗要員として3人の人間と契約する。傭兵であった姿俊之らの加入は、閉鎖的な組織である警察内に大きな軋轢をもたらす。そして、それは密造装甲機兵による立てこもり事件で決定的に……
個人的に、私が好きだった『ノワール』などの脚本家として活躍していた著者のデビュー作。『パトレイバー』やん、っていう意見を見て、「確かに……」と思ったのは秘密。と言っても、『パトレイバー』は普通の警察官がロボットに乗っているのに対し、本作は、傭兵という異分子が入り込み、組織内での軋轢などもある、という違いがあるのだが。
そんな作品の感想は、というと……面白い。これは確か。
近未来を舞台にし、SF設定がある……とは言え、脚本家として長らく活躍していた著者らしく設定とかがするすると頭に入ってくる文章力は流石。そして、冒頭の立てこもり事件での一幕から、警察内での軋轢。さらに、そのようなものを抱えた中で、我が道を進む姿俊之の動き。終盤の戦い……とテンポのよさやら何やらで存分に引き付けられた。場面場面の表現が非常に面白かった。
ただ……大幅に改稿した『完全版』が後に出た(私が読んだのは、最初に出たほう)というのからわかるように、物語としては大きな世界観が描ききれている、とは言いがたい。姿、ユーリ、ライザと言った外部から入った「傭兵」たちの過去は仄めかされいるだけだし、パイロットの命以上に優先される「龍機兵」の秘密も十分に描ききれたとは言いがたい。また、警察官として生きてきながらも、特捜部に入ったために阻害される由起谷、夏川らの描写もちょっと入る程度。1つの作品としての完成度が高いとは言いがたい。何と言うか、それこそ、その後の膨らみを期待させる「アニメの第1話」という感じである。
シリーズの第2作、第3作は、本作以上に高い評価を受けている。この第1話でばら撒いてきた伏線などをしっかりと回収してくれることを期待しよう。

No.3563

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