(書評)虚ろな十字架

著者:東野圭吾

虚ろな十字架虚ろな十字架
(2014/05/23)
東野 圭吾

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別れた妻が殺された。もし、あのとき離婚していなければまた被害者遺族になるところだった。妻を殺したのは、一人暮らしをしている高齢の男。妻の財布を奪うためだったという。しかし、その男の住所とは離れた場所での事件。違和感を感じた中原は、元妻の行動を探り……
著者の作品でしばしばある「罪と罰」に関する作品。人を殺し、服役した人と言うのは、本当意そお罪を悔いているのか? そんなテーマを持っている。この手の代表作としては『手紙』が挙げられると思うのだけど、どうにも視点が一方的というか、一面的というか、そんな感じがして入り込みづらいと感じる。
本作にしても、犯罪を犯した者が服役などをすることによって反省するのか? 反省とは何か? というのが一つのテーマになっている。フリーライターとなった中原の元妻は、そういう犯罪行為に関する物事を取材していた。そして、その罪と向きあう、ということを訴えていた。それ自体はわかるのだけど、事件を起こしてしまった人が社会復帰するのには、長い刑罰とかは却って足かせになる、っていう視点は抜けている。だって、30歳と40歳なら、30歳の方が就職しやすいでしょ? そして、就職できなければ、「食べるため」に事件を起こす、というリスクを高めてしまう。結論とかは出していないのだけど、その辺りの議論を一切抜きにした中原らの主張が多く出てくるので、どうにも……
というような部分で入り込みづらかったのだけど、謎解きという面ではどうか? 個人的には、こちらもちょっと、と感じてしまった。
元妻の行動を追う中原。一方で、中原の元妻を殺した犯人・町村の娘婿にあたる医師、仁科。物語は2つの視点で展開する。周囲から離婚すべき、といわれながらも頑なに拒む仁科。自らを罰するように苦難の道を進むのはなぜか? その辺りで何となく、事件の方向性は読めるし、中原が優秀すぎるというか、警察が無能すぎるというか……そういうのを感じてしまう。犯人・町村のキャラクターもなんかブレているように感じるし。
正直、著者の作品の中ではイマイチという感じ。

No.3567

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  •  死刑は無力か・・・
  • 小説「虚ろな十字架」を読みました。 著者は 東野 圭吾 11年前に娘を殺された中原はそのことが原因で妻と離婚し仕事も辞め伯父から引き継いだ会社で働いていた。 そこに娘の事件担当だった刑事が訪ねてくる 中原の元妻の小夜子が何者かに刺殺されたという。中原は、...
  • 2015.12.05 (Sat) 18:00 | 笑う社会人の生活