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(書評)明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 Sunrise & Sunset Story

著者:藤まる


明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 ~Sunrise & Sunset Story~ (電撃文庫)明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 ~Sunrise & Sunset Story~ (電撃文庫)
(2014/11/08)
藤まる

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死んでしまった美少女・夢前光の人格が1日起きに現れるコワモテ少年・秋月。次々ととんでもない事件を巻き起こす光に振り回されつつも、徐々に光に惹かれていく秋月。そんな二人の周囲を描いた短篇集。
なんか、短篇集なのに、本編である長編みたいな構成をしている、と感じた。いや、別に悪い意味じゃないよ。つまり、序盤は軽い、ギャグメインのエピソードを散りばめ、後半でだんだんとシリアス面を重んじたエピソードへと移っていく。もちろん、作中の時系列の変化とかあるのは間違いないわけだけど。
例えば、1篇目は秋月の妹・雪湖が、兄の想い人を探る話。光が書いた日記を読んで、兄が危ない人と勘違いをし、その周囲にいる人々(女性)に大して、なにげに毒舌を吐きまくる。最後、ちょっときれいに終わったっぽいけど、でも、ギャグそのもの。2編目も、光が勝手にツイッターで大暴れし、その中で秋月がよくわからないままに振り回される。こっちは、1編目以上にギャグに振り切れた感じ。
と、ギャグメインで行ったかと思えば、もう一組の二心同体である千秋と隼人のストーリー。本編でも、一応は語られていたけど、その過去から、秋月とのやりとりの裏側での隼人の励まし。視点が変わることで、「こうだったのか」と言うのがよく実感できた。
そして5編目。後日談となるエピソード。
光が消える直前に残した言葉に従い、クリスマスパーティーを企画する雪湖。そして、相変わらずの雪湖の毒舌。けれども、しっかりと光によって人の輪が広がっていった、というのが綴られる。そして、全員が集合したときにハッキリとする光の言葉の意味。
「皆がいるところに、私はいるよ」
本編3巻と、短篇集である本作。ライトノベルシリーズとしてはかなり短い作品なのだけど、その中でしっかりと周囲との関係などを積み上げきった結末は見事の一言。正直、この巻はいるのかな? とも思ったところがあるのだけど、読んで良かった。

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