(書評)神様の裏の顔

著者:藤崎翔


神様の裏の顔神様の裏の顔
(2014/09/26)
藤崎 翔

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多くの人々から尊敬を受けていた元教師・坪井誠造が逝去した。通夜の席に集まった人々。娘、元同僚、教え子、隣人、店子……。それぞれが頭に浮かべるのは、その誠造との思い出。しかし、それぞれが集まったとき、思わぬ疑惑が浮かび上がってきて……
第34回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
手堅い作品、という印象かな? 物語は、冒頭に書いたように物語は皆が尊敬していた誠造についての思い出を中心に展開する。教師として、教え子達から、さらには、違った考えを持つ教師からも尊敬され、退職後も近隣の人々に慕われた人物。それぞれが、それぞれで何らかの恩を感じており、それを思い出す。しかし、そこには奇妙な事件も見え隠れする。そして、そんな思い出を持った人々が集まったとき、実は凶悪犯罪者だったのでは? という疑惑へと転換していく……
こういう構成の物語であるため、終盤までの物語の展開はある程度、予想できる範囲内で展開する。とは言え、それが悪いわけではない。むしろ、そういうちょっとした疑惑のトゲから、どんどんおかしな方向へと話がこじれていく、というのは普通にあり得る話であるし、また、テンポも良いのでどんどん読み進めることが出来る。そして、そこに現れた距離を置いた立場の人間が矛盾点を見つけて……
ここまではしっかりとツボを抑えたつくりになっており、非常に面白く読むことが出来た。
ただ、その上での真相がどうにも強引。そもそも、誠造の疑惑時点でも、事件だとしたら随分と警察が無能、ということになってしまう上に犯人自ら認めるとおり、ご都合主義的。挙句に、その真犯人の存在そのものについてもちょっと無理を感じる、という算段重ねに感じられてしまったこと。
この作品の形をとった時点で、ある程度、選評でも言われるような既視感が出るような部分はいたし方があるまい。その上で何か新鮮味を、ということでひっくり返しをつけたのかもしれないが、ちょっとそこが滑ってしまったように感じた。

No.3599

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