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(書評)PK

著者:伊坂幸太郎


PK (講談社文庫)PK (講談社文庫)
(2014/11/14)
伊坂 幸太郎

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3編の作品を収録した短編集。
何と言うか、凄く不思議な作品だな、というのがまず最初に出る。
1編目の『PK』。ワールドカップ出場をかけた試合で、不調ながらもPKでゴールを決めた選手。父から奇妙なたとえ話を聞かされて育った男。かつて、落下してきた子供を間一髪で抱きとめた大臣。大臣は、かつて、ゴールを決めた選手のことを調べるよう、秘書に依頼し、たとえ話は何なのか?
いくつかの時系列が異なる物語が、どう繋がるのか、などで引っ張って、サッカー選手の不調の理由にも一応の説明がつく。
そして、2編目の『超人』。こちらは、犯罪を予知する能力を持ち、その犯人が事件を起こす前に相手を殺している、という青年の話を中心に展開する。その中で、先に書いた大臣やら、サッカーの試合やらも登場する。しかし、微妙に感じる違和感。そして、それが3編目『密使』で説明される……
正直、完璧に本作の内容を理解できたのか、というと全くそんなことなかったり。そもそも、色々なものについて、「あとは想像にお任せします」的な部分が多いし。上に書いたつながりとか、そういうのはどちらかというと、巻末にある大森望氏の解説で「なるほど!」と理解した部分が多かったりする(なので、解説は思いっきりネタバレなので読む方は注意)
何と言うか……著者の作品は、『ゴールデンスランバー』の後、どちらかと言うと純粋なエンタメ色よりも、実験作的な部分を強く出した作品が多い。本作も、そういうカラーを強く出したように思う。まぁ、『魔王』と設定として近い感じもあるのだけど……
一つの出来事が理由となり、勇気の連鎖が起きていく。逆に、不安の連鎖が起きていく。これは、その通りなのだろう。……もっとも、社会は、その双方が同時進行的におきている、というのが実情なのだろうけど。

No.3608

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