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(書評)恋と禁忌の述語論理

著者:井上真偽


恋と禁忌の述語論理 (講談社ノベルス)恋と禁忌の述語論理 (講談社ノベルス)
(2015/01/08)
井上 真偽

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大学生の詠彦は、天才数理学者であり、叔母にあたる硯さんを尋ねる。その目的は、名探偵が解決したはずの事件の真相が正しいと証明してもらうため。料理に入っていた樒による死は故意によるものか、あるいは事故か? 雑居ビルで起きた殺人は? 雪の館で起きた殺人は、双子のどちらによるものか?
そんな連作短編集。3編+1を収録。
第51回メフィスト賞受賞作。
うん……これはミステリー小説なのか? それともそれを題材にして、論理学の考え方を示した教科書なのか? そんなことを思ってしまった。
物語は各編、硯さんのもとを訪れた詠彦が、自らの遭遇した事件のことを話す。そして、そのときに居合わせた探偵が、どういう理由で、どういう結末を導き出したのか、ということも。そして、それを受けた上で硯さんが、論理学的に、その考え方、公式などをレクチャーしながらその事件を考察する、と言う構成を取っている。
とは言え、ただ、論理学の考え方を示して、というのであれば素直に小説、という風に思うだろう。しかし、本書の場合、犯人の行動の矛盾を突く、とか、そういうところを離れて、完全に公式の羅列になっていく。「Aならば、Bである」みたいなものがずらっと並ぶからね。そのため、どうにも小説を読んでいる、というよりも、教科書を読んでいる気持ちになってしまうのだ。しかも、正直、それがどの程度、真相の解明に結びついているようにも感じられず……
まぁ、何だかんだで、詠彦の行動に結構、動揺している硯さんの可愛さとか、そういうのは光っている。最後の掌編で、それまでの事件のつながりとか、そういうのをまとめる構成は悪くない。また、ちょっとしたやりとりの中での言葉選びのセンスとかも好き。要素要素は、凄く好きあのだ。
それだけに、論理学の説明とかをもうちょっと上手く、物語そのものにしっかりと融合させて欲しかったな、と言う感じ。
まぁ、でも……こういうヘンテコな作品が、しっかりと世に送り出されるのがメフィスト賞。その意味では、メフィスト賞作品らしい、とも同時に思う。

No.3637

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