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(書評)掟上今日子の備忘録

著者:西尾維新


掟上今日子の備忘録掟上今日子の備忘録
(2014/10/15)
西尾 維新、VOFAN 他

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掟上今日子、またの名を「忘却探偵」。一度眠ると、その記憶を失ってしまう彼女は、事件を即日解決。昔から、事件に巻き込まれやすく、しかも、その犯人として疑われる隠館厄介は、巻き込まれるたびに叫ぶ。「探偵を呼ばせてください!」
という掟上今日子の活躍を描いた連作短編集。全5編収録(ただし、最後の2編は前後編構成なので、実質的には4編)
あれ? この作品の著者って、西尾維新だっけ? 確かに、主人公の隠館厄介という名前こそ、著者らしいのだけど、台詞回しとか、そういうのも含めて著者らしい(ある種の)回りくどさとか、そういうのがなく、実にストレート。こんな文章も書くんだなぁ、という感じである。
個人的にすきなのは、2編目かな?
人気漫画家の元に届いた脅迫状。「冷蔵庫に隠してあった百万円を預かった。返して欲しければ一億円を振り込め!」 そもそも、普通に考えて、百万円は百万円。その見返りに一億円を払え、というのはおかしな話。でも、漫画家は払おうとしている。何か、犯罪の証拠? でも、漫画家がそんな人とは思えない。だとすると……?
お金、特に、紙幣にあって、他のものにない特徴は……? そんなところからの謎解きは、よく出来た「日常の謎」ミステリと言う感じで上手いと素直に感じる。
まぁ、日常の謎、と書いたけど、一応、刑法犯罪に該当することは起きているのだけど、殺人とかを直接、解決するというよりは、そもそもそれが殺人なのか? ということを推理するなど、凄惨な部分はないので、そういうのが苦手な人でも読みやすいと思う。しかも、それぞれ、記憶というものがテーマになっている、なんていうのもあるし。
著者の作品、と言う風に考えた場合、かなり薄味な印象はどうしても否めない。ただ、それ故に万人向けかも、とも思う。
まだ、今日子自身の謎という大きな謎があるので、今後、シリーズ展開の中でクセが強くなっていく可能性は十分にあるとも思うけど。

No.3647

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  • 2015.03.18 (Wed) 21:17 | 刹那的虹色世界