(書評)沈黙のエール

著者:横関大


沈黙のエール沈黙のエール
(2013/09/27)
横関 大

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パリ留学を数日後に控えた里菜の元に、遠縁の子だという陽介が訪れる。しかし、その夜に父の経営する洋菓子店が何者かに放火され、さらに、神社で父が他殺体で発見される。ショックに打ちのめされる里菜。そんな彼女の前に、仕事もせず、ブラブラとしている兄・克己が現れて……
なんか、良くも悪くも著者らしい作品だなぁ、という感じ。というか、デビュー作である『再会』あたりは、比較的、落ち着いたトーンの作品だったけれども、その後の作品を読むと何かパターンが決まっているような感じがする。ぶっちゃけ、著者って、ちょいワルだけど、でも、実はお人よし、みたいなキャラクターが好きでしょ? とも。
物語は、冒頭から一気に謎が噴出する。陽介は一体誰なのか? 戻ってきた克己は一体、何をしようとしているのか? 店が燃やされた現場には兄? さらに、かつて父を窮地に陥れた元クリーニング店店主もまた他殺体として発見される? そして、少しずつ繋がる中で、その全ての起点が10年前にあることが判明する……。本当に一気に謎が現れるスピーディな展開の吸引力はかなりのものである。
ただ……最初に書いたように、著者の過去の作品のいくつかを読んだ身とすると、「このあたりに着地するんだろう」というのがわかるので、どうにも衝撃のようなものがない。また、起点となる10年前の出来事というのが、あまりにも都合よく起こりすぎ、というのもどうしても思う。事件を追う刑事役として、片山、深津という二人がいるのだけど、これもあまり機能しているとは思えなかった。挙句、犯人はただのおかしい人、となってしまうと、「うーん……」と感じてしまう。
それでも、最後に告げられる、父のエールについては、良いなぁ、と素直に感じたんだけどね。
過去の作品でも全く同じことを書いているのだけど、リーダビリティとか、そういうのがあるだけに、余計にリアリティの低さがもったいなく感じられる。

No.3656

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