(書評)虹の歯ブラシ 上木らいち発散

著者:早坂吝


虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)
(2015/02/05)
早坂 吝

商品詳細を見る


様々な客と援助交際をしている高校生・上木らいち。そして、同時に名探偵でもある。殺人現場に残された12枚のカラーコピー。密室内で腕を切られて殺害された教祖。……そんな事件を描く連作短編集。
まぁ、前作、『○○○○○○○○殺人事件』がかなりのイロモノ作品だったのだけど、本作もその路線で一気に進んだ。しかし、イロモノではありつつも、それぞれのエピソードについて、趣向が凝らされているのがにくい。
1編目の『紫』。会社で奇妙な形になった殺人が起きた。しかし、その被害者の雇い主である社長は、らいちの客という形でアリバイがあった……。トリックそのものは、この作風でなくても使えるものかも知れない。けれども、その犯人のアリバイを崩すきっかけが……。まさかの理由だった。
『青』は……おどろおどろしい青い屋敷で起きた教祖殺害事件。密室からの脱出などという、本格ミステリのガジェットが詰まっているのだけど、その真相は……。元々、映像化に向かない本作だけど、これ、映像には絶対に出来ないよな……(笑) 『黄』は、これまでのエピソードの中では最もちっちゃな事件ではある。ある意味、勘違いイケメンの悲哀と、らいちのプロ意識が表れた作品といえるのかもしれないけど……
そして、単独で読んでよくわからない『橙』を挟んでの『赤』……
上木らいちとは何者か? という問いに従い、それまでのエピソードから仮説を作り、そして、それを崩す……という形式を取る。「上木らいちは○○である」という仮説について、各編の描写を取り上げて検証し、しかし、その中の矛盾点などから否定して……結局、何なんだ? っていう話になっていくのだが……。ただ、それをやるために、『橙』が重要であった、というのはよくわかる。
ただ、最後の2編については評価がわかれそう。ただ、これがあったからこそ、前作のインパクトに負けない作品となっている、というのは事実だろう。

No.3660

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村



スポンサーサイト

COMMENT 0