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(書評)ダブル・フォールト

著者:真保裕一


ダブル・フォールトダブル・フォールト
(2014/10/03)
真保 裕一

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司法試験に合格して間もない新米弁護士の本條務。彼は、所属する事務所の代表である高階から、殺人事件の弁護をするよう命じられる。街金経営者である成瀬を、街工場の経営者である戸三田がペーパーナイフで刺し殺してしまった。そして、戸三田は自首し、その罪を認めている。そのような状況の中、戸三田の減刑を求め、成瀬の悪評を調べるのだが……
うーん……正直、かなり淡々とした話で、やや平板な印象はぬぐえず。ただ、色々と考えさせる要素も多い、というのが私の評価。
冒頭に書いたとおり、新米弁護士である本條は、被告人の減刑を狙って被害者の非について調べていく。曰く、かなり強引な取立てをしていた。違法な違約金を取っていた。事件にはならなかったものの、女性関係で問題を起こしていた。「被告人の利益を最優先とする」という立場から考えれば、それは間違った方法ではない。しかし、被告人・成瀬の娘は、それに反発し、本條に対する嫌がらせを始める……。しかも、被告人も何か隠している感じがするだけに……
これ、凄く難しい問題だよな、というのは凄くわかる。
色々と刑事事件はあるけれども、そもそも「殺人」というのは被害者が反論を出来ない、という形の犯罪。「被告人の利益」を最優先する弁護士は、当然、被害者の非を探さざるを得ない。ぶっちゃけ、殺人の犯人・被害者の関係って、常に被害者が善、犯人が悪、ではないわけでやるべきことではある。でも、被害者にも家族や親しい者がいる。そして、それはただでさえ傷ついているのに、その非を公開されたら……。しかし、だからと言って、犯人が常に全て悪、とするのも明らかな暴論……
その狭間で悩む本條というのは、甘い、といえば、この上なく甘い存在ではある。でも、凄く一般的な感覚を持った人間だ、というのも思う。事件そのものも地味ではあるのだけど、そういうことを考えさせるテーマ性というのは、私は高く評価したい。
ただ、真相のあたりはちょっと微妙だったりもする。何か、決着をつける必要があったのだろうけど……個人的には、変にひっくり返しとかをしなくともよかったんじゃないか、という気がしないでもない。ただモヤモヤして終わり、っていうのもアリだと思うだけに……

No.3671

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