(書評)機龍警察 暗黒市場

著者:月村了衛



警視庁との契約を破棄されたユーリ。彼は、旧知の仲であるヴォル(マフィア)のゾロトフと接触する。そして、武器密売を開始するために……。だが、それは、市場に流出した新型機甲装兵が、龍機兵と同型機では? という沖津によるブラックマーケット壊滅作戦のための潜入捜査だった……
ということで、シリーズ第3作。
前作がライザのお当番回というなら、今回はユーリのお当番回。序盤、契約破棄となったユーリが、ゾロトフと接触し、武器密売へと手を染める、ということから始まり、そして、それが実は潜入捜査である、ということが明かされる。そして、そこから今度はユーリの過去へと物語が展開する。
前作は、ライザの過去話ではあったのだけど、同じく特捜のメンバーである鈴石緑の過去であったり、はたまた、ライザの妹の物語だったり……と、かなり複合的に展開し、しかも、現代と過去が交錯する形で構成されていた。が、本作は、潜入捜査をしたユーリの過去が一気に描かれ、そして、現在のユーリへと移る。その意味では、比較的、シンプルな構成といえるだろう。
今回のテーマは「光と影」であり、そして、過去と現在の因縁の交差……だろうか?
腐敗しきったロシア警官の中で、自らを律して生きたユーリの父。そして、同じ学校に通っていたヴォルの息子・ゾロトフと出会う。しかし、裏切り者のヴォルと呼ばれたゾロトフは事件を起こし、ユーリの父が彼を射殺する。そこから始まる因縁。その後、父と同じく警察官となったユーリ。相変わらず腐敗しきった警察であったが、その中で数少ない誇り高き「最も痩せた犬」の一員として栄光の日々を送る。だが、潜入捜査をしたときに……
裏切り者の息子であるゾロトフと、仲間の裏切りで全てを失ったユーリ。屈辱の日々から大きく育ったゾロトフと、屈辱へと陥ったユーリ。そして、かつてと同じような潜入捜査と、そこで再会するかつての関係者たち……。因縁が常に入れ代わってサスペンスフルに展開していく様は圧巻。面白かった。
と、同時に、今回は「敵」の正体はあまりわからなかったのだけど、代わりに「龍機兵」について多少、興味深い表記もあったり。噂の新型機甲装。その動きについて出た龍機兵との決定的な違い。このあたりも今後に関わってくるのだろうか?

No.3712

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  •  機龍警察 暗黒市場/月村 了衛
  • 新年最初に読み終えたのは、月村了衛さんの機龍警察シリーズ第3作「機龍警察 暗黒市場」でした。 今回は、物語の冒頭でいきなり龍機兵の操縦者の1人であるユーリが警視庁との契約を破棄されたところから始まります。ロシア警察に在籍中に警察に裏切られたユーリは、再び警察に裏切られることになったのでした。ユーリは生き延びるために武器の密売に手を染めました。そんなユーリは、ロシア時代に関わりのあったマ...
  • 2015.06.05 (Fri) 09:40 | 日々の記録