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(書評)the SIX

著者:井上夢人



予知能力、超聴覚、何でもモノを斬る能力……超能力を持った子供達を描く連作短編集。全6編を収録。
なんか、最近、著者の作品を読むたびに書いている気がする。著者の作品を読むのも久々(笑)
まぁ、著者の作品は(井上夢人名義での)デビュー作となる『ダレカガナカニイル』から、それなりに最近の『魔法使いの弟子たち』など、超能力とか、特殊能力とか、そういうキャラクターというのが題材に使われることが多いのだけど、その代償みたいな部分をクローズアップしたのが本作といえると思う。
例えば1編目。不登校になってしまった小学生。彼女は、「あしたの出来事」が見える。しかし、見えるがそれだけ。自分でもそれがどう意味するのかもわからないし、また、わかっても何もすることができない。だから、絵に描くことで何とかそれを吐き出そうとする。しかし、それにも限界がある。2編目も同様。自分の耳の中に響く謎の声。しかし、自分にしか聞こえないそれは、周囲から、「おかしい人」というレッテルを貼らせてしまうだけ……
3編目なんて、5編目なんて、さらに直接で、何でも斬ってしまう、電撃を放つことができる。そんな能力にいたっては、直接的に相手を傷つけてしまう。故に周囲を恐れさせ、そして、自分自身もまた傷つく……
そんな子供達の様子をこれでもか、と描いた上で、それぞれのエピソードにおいて救いの光が見える辺りのバランスのよさが秀逸。そして、最後の1編。
このエピソードの少女は、誰かの傷などを治す、という能力の持ち主。それ故に、決して嫌われているわけではない。むしろ、周囲の人々からこれでもか、と慕われている。しかし、それは一種の距離を感じさせる接し方。慕われれば、慕われるほど、距離を感じてしまう。そんなときに……
各エピソードで救いの兆しを感じさせ、それを決定的にさせての締め。それまで、どちらかと言うと独立した感じのエピソードがしっかりと結びつく。ちょっと強引かもしれないけれど、これはこれでOKだろう。

No.3726

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