著者:佐藤青南


行動心理学を用い、相手の仕草から嘘を見抜き、真相に迫る刑事・楯岡絵麻。その活躍を描く連作短編集、第3弾。
前巻で、絵麻の宿敵との戦いが終わったと思っただけに、続編が出るのがちょっと以外だった。そして、今回は、結構、取調室の外での行動が多くなっている。さらに、絵麻の同僚である刑事・筒井がライバル(というか、ある意味、噛ませ犬)キャラクターとして登場する、というのが一つの特徴。
1編目は、ある意味、これまでの2巻でもあったような「イントロダクション」と言った趣のエピソード。親のように年上の男性と結婚し、しばらくするとその男性は死亡。そして保険金が……という事件を繰り返した女と、その弟。姉を取り調べる筒井は、疑いの目を向けながら……。一方、弟を取り調べる絵麻は……。説明とか、やり口とか、いつも通りで「おさらい」と言えるだろう。ただ、この時点で思い切り、筒井刑事、かませ犬です(笑)
2編目は、妻に付きまとい殺人未遂で逮捕された男。しかし、そこで語る言葉は「盗聴されているから、筆談で」など、明らかにおかしい。その被疑者の取調べに苦労する中、絵麻はその被疑者の周囲の調査から、詐病であると確信する。……正直、これ、物凄い計画性だよな……。このエピソードは、そこで一つの解決を見せるのだけど、時事ネタな3編目を挟んで(ぶっちゃけ、この騒動を見ていると、トリックも簡単に想像できる)、4編目へと繋がる。
重篤な事件を行いながら、責任能力無しとされて入院措置となった犯人達。その病院に勤務する看護師から伝えられた「助けて」というメッセージ。一体、そこで何が起きているのか? そして、2編目の事件とのつながりは……
意外性、という意味では、確かにかなり意外。その謎解きがなされるまでの謎解き、そして、その上での絵麻の陥った危機的状況。この危機的状況を、絵麻が自ら切り抜けた、っていうのは、相手がちゃんと理性的な判断能力を持っている、という証拠……ともなる。その意味でのまとめ方は悪くないと思う。
ただ……正直、この状況が出来上がるのかな? という感じはする。確かに、刑法39条の話っていうのは、この手の作品ではテーマになりがちなのだけど、そこまで司法、司法医学の手は甘くないよ……とも思うだけに。単純に物語としての意外性はあるのだけど、リアリティとかはどうにも……とも感じた。
No.3737

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行動心理学を用い、相手の仕草から嘘を見抜き、真相に迫る刑事・楯岡絵麻。その活躍を描く連作短編集、第3弾。
前巻で、絵麻の宿敵との戦いが終わったと思っただけに、続編が出るのがちょっと以外だった。そして、今回は、結構、取調室の外での行動が多くなっている。さらに、絵麻の同僚である刑事・筒井がライバル(というか、ある意味、噛ませ犬)キャラクターとして登場する、というのが一つの特徴。
1編目は、ある意味、これまでの2巻でもあったような「イントロダクション」と言った趣のエピソード。親のように年上の男性と結婚し、しばらくするとその男性は死亡。そして保険金が……という事件を繰り返した女と、その弟。姉を取り調べる筒井は、疑いの目を向けながら……。一方、弟を取り調べる絵麻は……。説明とか、やり口とか、いつも通りで「おさらい」と言えるだろう。ただ、この時点で思い切り、筒井刑事、かませ犬です(笑)
2編目は、妻に付きまとい殺人未遂で逮捕された男。しかし、そこで語る言葉は「盗聴されているから、筆談で」など、明らかにおかしい。その被疑者の取調べに苦労する中、絵麻はその被疑者の周囲の調査から、詐病であると確信する。……正直、これ、物凄い計画性だよな……。このエピソードは、そこで一つの解決を見せるのだけど、時事ネタな3編目を挟んで(ぶっちゃけ、この騒動を見ていると、トリックも簡単に想像できる)、4編目へと繋がる。
重篤な事件を行いながら、責任能力無しとされて入院措置となった犯人達。その病院に勤務する看護師から伝えられた「助けて」というメッセージ。一体、そこで何が起きているのか? そして、2編目の事件とのつながりは……
意外性、という意味では、確かにかなり意外。その謎解きがなされるまでの謎解き、そして、その上での絵麻の陥った危機的状況。この危機的状況を、絵麻が自ら切り抜けた、っていうのは、相手がちゃんと理性的な判断能力を持っている、という証拠……ともなる。その意味でのまとめ方は悪くないと思う。
ただ……正直、この状況が出来上がるのかな? という感じはする。確かに、刑法39条の話っていうのは、この手の作品ではテーマになりがちなのだけど、そこまで司法、司法医学の手は甘くないよ……とも思うだけに。単純に物語としての意外性はあるのだけど、リアリティとかはどうにも……とも感じた。
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- インサイド・フェイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻 ≪あらすじ≫ 行動心理学を用いて相手のしぐさから嘘を見破る、美人刑事・楯岡絵麻。その手腕から“エンマ様”と呼ばれる。離婚した元夫に刺されたという被害者女性の証言により、被疑者の取調べに当たった絵麻。しかし、ふたりの娘が三年前に殺されていた事実を知った絵麻は、筆談でしか応じようとしない不可解な行動をする被疑者から、ある可能性を...
- 2015.07.07 (Tue) 23:20 | 刹那的虹色世界