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(書評)WORLD END ECONOMiCA 3

著者;支倉凍砂



巨大企業アバロン社の不正を暴き、「月の英雄」として多忙な日々を送るハル。その彼の頭にあるのは、あの日、手を離してしまった一人の少女。停滞するハルの気持ちとは裏腹に、未曾有の不動産ブームに沸く月面。絶対に安全、という神話が立つ中、しかし、ハルにはその空気に危ういものを覚えていて……
シリーズ完結編。第2巻からさらに4年後。1巻からは8年後、という設定。
勿論、最終的にはハガナと再会して、取り戻して……となるのだけど、読んでいる最中は2つの物語のように感じられた。
前半は、冒頭に書いたように未曾有の不動産ブームに沸き立つ月面。投資銀行に入り、絶対に安全と言うシステムを開発したクリス。しかし、ただ、一人、この状況は続かないという男・ウォレス。アバロン社の不正発覚の際、空売りにより巨額の富を得た「悲観の帝王」。ただでさえ違和感を覚えるハルは、ウォレスの言葉から、その健全性を調べるが……しかし、どう見ても問題があるようには思えない。でも、違和感は続く。そして……
不動産ブームから、その崩壊。それを支えるシステム。これって、2巻と同じく「あの事件だな」というのがわかる。正直、詳しいシステムの説明とかはよくわからないんだけど(現実でも、それを完璧に理解していなかったからこそあそこまで大きく影響したのだけど)、現実を知っているからこその危うさ。そこにどう気付くか、で読み進める形になった。そして、その違和感がわかった、そのとき……
再会。しかし、頑なに距離を置こうとするハガナ。そんなハガナというものを取引の材料に表れるバートン。そして、発生する更なる月面の危機……
作中の時間もそうだけど、読んでいる側としても実に1000頁ぶりの再会。それだけに、記憶から消えかけていたハガナの天才性とその脆さ。そのかけ違いが解消され、互いの想いが通じたとき……
シリーズ全3巻、とは言え、それぞれが800頁くらいあるかなりの分量の作品。それだけに、ここまで読んでいると相当な達成感はある。ただ、これまでの著者のシリーズ作品などと違い、800頁あまりで1つのエピソードとなり、特にシステムの説明があるのでやっぱりちょっと長い、と感じるところはあった。特に1巻はそれを感じた。それでも十分な達成感を感じるのは流石、というべきなのだろう。
てか、最終的に結婚式ってのは……一種の様式美にでもしていくのかな?(笑)

No.3790

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