(書評)絶望的 寄生クラブ

著者:鳥飼否宇



興奮すれば興奮するほど頭脳が冴える、いや、変態する綾鹿科学大学大学院順准教授の増田米尊。彼は最近、異変を感じていた。今まで、女性に言い寄られるなどと言うことは全くなかった彼が急に……。さらに、学会での発表に向けたプレゼンテーション用資料が突如、奇妙な小説に入れ替わっていて……
この増田米尊のシリーズを読むのは久々。何年ぶりだろう、と思って調べてみたら実に6年半ぶり。大分、記憶から抜け落ちていて、物凄く脱力系のオチが待っている、というところだけ覚えていたのだけど、本作もそれは変わらず。ただ……
巻末の初出一覧を読むと、本作の中で作中作として登場する(増田のプレゼン用資料から差し替えられたもの)作品というものが先にあり、それに増田が右往左往する、というパートを加えることによって1本の長編にした、という形式。
それだけに、意外と作中作の出来が良い。
増田のゼミ生と同じ名前の面々が登場し、紅一点の女子学生がなぜか妊娠してしまった、という謎(?)を解く『処女作』。オリンピックの時期に、女性との関係を描きながら「主人公の名前は?」と問う『出世作』。そして、評論家が何者かに殺害された謎を解く『失敗作』。このシリーズらしく、物凄く下品で、ある意味で官能小説っぽく(でも安っぽい)、そして、物凄くバカバカしい。作中でも「バカミス」「バカミス」と連呼されているのだけど、逆にそういう作品として素直に楽しむことが出来た。
そして、それらを結ぶ増田のパート。プレゼン資料を差し替えたのは誰か? そして、増田の異変の理由は?
脱力モノのオチっていうのはそうなのだけど……なんか無理矢理感あるなぁ、というのが本編の素直な感想だったりする。様々な時期に書かれた過去のエピソードを結んで、それでさらに全てが論理的に……っていうひっくり返しとかは難しいのはわかるのだけど……ある意味、これって反則だもの。
まぁ、それでもある種の満足感を得てしまうのが、バカミス愛好家の罪……

No.3796

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