著者:伊坂幸太郎


舟に乗って釣りに出かけたはずの私は、気付くと見覚えのない土地の草叢で、両手を蔦で縛られ動けない状態にされていた。そして、仰向け状態の私の胸の上には灰色の猫が。「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」人間の言葉を話すその猫・トムは、摩訶不思議な物語を語り始める……
著者の作家としてのキャリアは、もともと案山子とかが喋る、という『オーデュボンの祈り』から始まったわけだけど雰囲気はそれに近いものを感じる。何しろ、人の言葉を理解し、そして、喋ることが出来る猫。そして、その猫の視点で綴られる小国の物語。
物語は、長き戦争が終了し、国の王である冠人が国民に演説する場面から開始される。国は戦争に敗れ、敵国たる「鉄国」の兵がやってきた。しかし、乱暴なことはしない……そう宣言した矢先、その冠人は銃で撃ち殺されてしまう。そして、恐怖の日常が……
人間の常識とは違う世界で生きる猫達。そんなとき、実は、自分達が当たり前のように捕らえていた鼠もまた、言葉を喋り、会話をする、という事実が発覚する。さらに、自分たちには関係ないと思っていた鉄国の支配が猫にも関係しそうだ……という危機感。
そして、「クーパー」という自ら動く杉の伝説と、それを退治するために毎年のようい派遣されていた兵士たち。その意味……
とにかく、現在日本とは大きく違っている世界観の一風変わった物語に上手く取り込まれていった。
そして、そんな物語は終盤に入って……
創元推理文庫、というレーベルで出された作品なのだから……という意味で、ひっくり返しもある程度は予測していた。そして、それは的中した。でも、もう1つの仕掛けには上手く騙された。ちゃんと、「クーパー」の伝説の意味とかに繋がる、というのは流石。しかも、読み終わってみると、ちゃんと著者らしいテーマ性も持っているのだから余計に。
7割くらいまでは、童話的とでもいうべきファンタジー。そこから急転直下の展開。その色分けが何よりも印象に残った。
No.3802

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舟に乗って釣りに出かけたはずの私は、気付くと見覚えのない土地の草叢で、両手を蔦で縛られ動けない状態にされていた。そして、仰向け状態の私の胸の上には灰色の猫が。「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」人間の言葉を話すその猫・トムは、摩訶不思議な物語を語り始める……
著者の作家としてのキャリアは、もともと案山子とかが喋る、という『オーデュボンの祈り』から始まったわけだけど雰囲気はそれに近いものを感じる。何しろ、人の言葉を理解し、そして、喋ることが出来る猫。そして、その猫の視点で綴られる小国の物語。
物語は、長き戦争が終了し、国の王である冠人が国民に演説する場面から開始される。国は戦争に敗れ、敵国たる「鉄国」の兵がやってきた。しかし、乱暴なことはしない……そう宣言した矢先、その冠人は銃で撃ち殺されてしまう。そして、恐怖の日常が……
人間の常識とは違う世界で生きる猫達。そんなとき、実は、自分達が当たり前のように捕らえていた鼠もまた、言葉を喋り、会話をする、という事実が発覚する。さらに、自分たちには関係ないと思っていた鉄国の支配が猫にも関係しそうだ……という危機感。
そして、「クーパー」という自ら動く杉の伝説と、それを退治するために毎年のようい派遣されていた兵士たち。その意味……
とにかく、現在日本とは大きく違っている世界観の一風変わった物語に上手く取り込まれていった。
そして、そんな物語は終盤に入って……
創元推理文庫、というレーベルで出された作品なのだから……という意味で、ひっくり返しもある程度は予測していた。そして、それは的中した。でも、もう1つの仕掛けには上手く騙された。ちゃんと、「クーパー」の伝説の意味とかに繋がる、というのは流石。しかも、読み終わってみると、ちゃんと著者らしいテーマ性も持っているのだから余計に。
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