(書評)EPITAPF東京

著者:恩田陸



久々に読んだ著者の作品。一体、これは何なのだろう? そもそも、これは小説……で良いんだよね?
物語(?)は、戯曲を書いている、という筆者のエッセイっぽい文章。そして、筆者が書いた戯曲。さらに、筆者とは明らかに異なった語り部による文章というものが繰り返される形で綴られる。何となく、それぞれにつながりがあるような、しかし、ないような……何とも言えない感じになるのだ。
ただ、じゃあ、それがつまらないのか? というと、そんなことはない。
作中の殆どを占める「筆者」によるエッセイ。東京という街でのちょっとしたことをテーマに綴られるそれは、それぞれ、非常に身近で凄く親近感を覚える。電車の正確さ、アジアなど、他の都市と比べたときの東京の空気の様子……まぁ、自分自身が都内で暮らしているから、というのは勿論、ある。ただ、それと同じくらいに、本書の中で綴られるそれらが著者の経験、知識などを反映した小説ではあるが限りなくエッセイに近い形で綴られたものではないかと思う。実際、実在する建物、企業、はたまた、小説などの作品などが多く登場してくるし。
作品のテーマは、記憶。それも、街の記憶だろうか。将門塚だとか、江戸幕府だとか、はたまた、大火と言ったはるか過去の記憶。戦後の経済成長、その中での開発、再開発……。はっきりとそれを前面に押し出しているわけではないのだが、読んでいるとだんだんとそれがテーマに思えてくるのだ。そして、そのエッセイ(?)の中に出てくる吉屋という男。自らを吸血鬼と自称し、そして、様々な記憶を受け継いでいるという。それって、東京と言う街の記憶と対になった存在ということなのかな、と感じる……
そういう意味で、小説と言うよりもエッセイ集みたいなものとして楽しめた……
と思ったら……何、このオチ? 東日本大震災のような設定とかな、と思っていたら……何か、凄くぶっとんだ話が出てきて……。最終的に頭の中大混乱で読み終えた。うん、結局、何だったんだ?

No.3807

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