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(書評)ファイアボール・ブルース2

著者:桐野夏生

ファイアボール・ブルース〈2〉 (文春文庫)ファイアボール・ブルース〈2〉 (文春文庫)
(2001/08)
桐野 夏生

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女子プロレス団体PWP。その中でも最強を誇る「ファイアボール」火渡とその付き人・近田。団体内でのトラブル、人間模様、そして、それは近田自身にも…。
ファイアボール・ブルース』の続編となる連作短編集。
前作は、ミステリの形を借りて、火渡の力強さ、精悍さ、そういうものを描いていたように思うのだけれども、本作は火渡自身の描写は少なく(ただ、重要な場面で、重要な役割をしているけど)、むしろ、主人公である近田の想いなどを強く感じる。
本作を読んでいて、何よりも感じたのは「正念場」と言う言葉だろうか。
入門を志願してきた二人、というところから始まって、熱狂的なファン(?)による脅迫事件、判定に対する批判で追い詰められるレフェリー…などなど、団体内のそれぞれが、それぞれの正念場に立たされ、そして、自らの決断を下す。そんな様子が、近田の視点で持って語られる。そして、その正念場は、近田本人にもやってきて、そこで彼女が下すのは…。
ミステリとしての体裁をとっていた前作と違って、本作はミステリとは言い難い。ただ、その分、それぞれの決意であるとか、心情であるとかが素直に語られて私は、本作の方が好き。近田の決断に対する火渡の最後の一言、そして、『近田によるあとがき』、として語られる後日談。そのコントラストと、完全に分かれてしまった二人の世界が印象的な後読感として残った。

通算1228冊目

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COMMENT 2

Roko  2008, 04. 29 [Tue] 00:12

特大たこやきさん☆こんばんは
普通の人である近田の辛さって、悲しいけどどうにもならないんですよね。
でも、きっぱりと決断した彼女はカッコ良かったです!

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たこやき  2008, 04. 30 [Wed] 10:10

Rokoさんへ

こんにちは。
努力はしていてもどうしても埋まらない差という辛さ、哀しさが、この「2」では強く伝わってきました。
決断を下す瞬間までの躊躇、そして、その後の両者の差…そういうところも印象的でした。

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