(書評)大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう

著者:山本巧次



江戸、両国の近くに住む謎めいた美女・おゆう。彼女の正体は、平成に暮らす元OLで、祖母から受け継いだ家から現代と江戸時代を行き来しての二重生活を送っている女性・関口優佳。そんなある日、同心である伝三郎と共に、江戸でも有数の大店薬種問屋・藤屋から、殺された息子の汚名をそそいで欲しいと依頼を受ける。現代の科学的手法で、事件に挑むおゆうだったが……
第13回『このミス』大賞、隠し玉作品。
面白いんだけど、設定をよくよく考えると色々と無理があるような……。読み終わっての感想はそんなところ。
物語は冒頭に書いたとおり。薬種問屋の倅が何者かに殺害された。その倅は、放蕩息子として有名で良くない噂も多い存在。そして、江戸では、違法な闇薬がひそかに流通しているらしい。その倅が店の薬をくすねて? しかし、そんなことは絶対にない、と言い張る藤屋。そして、調査を開始すると……
藤屋の倅が殺された場所はどこなのか? そして、そこに誰が関わっているのか? ひそかに現場から指紋を採取して当たりをつけて、江戸の世で不自然に感じないような形で下手人を探る。ところが、その矢先に、下手人もまた……。放蕩息子の死、というところから謎が1つ解決すると、次の謎が出てきて……で、どんどん大規模に張り巡らされた陰謀が見えてくる、という話の広げ方は悪くない。また、その中で、多少、強引ながらも現代の知識、道具で暴いていくのも楽しい。そういう点では楽しめた。
ただ……現代と江戸時代で二重生活をしている、という割に、現代での生活部分がおざなりに思う。単純に、知人である化学分析の専門家に「これ調べて」と依頼しに行くだけなんだもの。作中、おゆう(優佳)は、現代では無職という扱いみたいだけど、だとしたら祖母から受け継いだ家はどうやって維持しているの? また、最後に、続編などが出来るように、という話が入っているのだけど……これはこれでもうちょっと本編中の様子とかが伏線になっていても良かったのでは? と感じたり……
繰り返して言うけど、本編の話そのものは楽しんで読むことが出来た。ただ、その上で細かく詰めていくと荒削りと感じるところもあるかな? という印象。

No.3826

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