(書評)蝶が舞ったら、謎のち晴れ 気象予報士・蝶子の推理

著者:伊与原新



天気予報が大嫌いな気象予報士・菜村蝶子とお、幼馴染の探偵・右田夏生。探偵事務所を構える右田の下にはささやかな、しかし、奇妙な謎が舞い込む。降らなかったはずの雨、半世紀前の落雷のあと、誘拐されたバイオリン……。そんな謎を解き明かすのは、天気予報!
著者の作品を読むのは4年半ぶり。東日本大震災の、まさにその日に、震災後の東京を舞台とした『お台場アイランドベイビー』を読んで以来。凄いタイミングだった。で、『お台場~』は、地震という自然現象が題材にはなっているものの、内容的には地震後の政治・経済を題材とした作品。一方、本作は日常の謎的な展開に、気象に関する薀蓄をプラスしたような組み立て。
とりあえずは、キャラクターを前面に押し出した作品、という印象が強い。とにかく、ヒロインである蝶子のインパクト。無理矢理にテレビのお天気キャスターに抜擢されたことが不満で、予報では無愛想極まりない態度で語る。しかも、思いつきでよくわからない予言(?)を口走る。それが却ってネットで評判になる始末。そんな中で、何だかんだ言いながら、夏生からの連絡を受けるとそこに協力する辺り、ツンデレキャラだよなぁ……(笑)
ただ、逆に言うと、気象予報士という専門知識の謎はやや薄いかなぁ……? と。
1編目。夏生の元へキーホルダーを拾った男性を捜して欲しいと依頼に来た女性。その男性は発見するものの、その真意は? 気象に関するものが謎解きの鍵なのは事実だけど……気象予報士でなくても推理できるような……。そもそも、天気予報見ていれば、って気がしないでもないし……。ヴァイオリン誘拐と、そこでの不審者騒動の4編目も、ある意味、物理トリックみたいなもので、気象に関して、という印象はない。
逆に、台風の中、どこかへと連れ去られて……という3編目とかは、風向きとか、そういうので、なので気象予報士らしいかも。また、5編目については、様々なデータなどは出ても、最終的に「どの天気になると判断するか」は予報士自身の決断。そして、そこに別の意図が混じったら……というIF。
個人的にはキャラクターが良いと思うだけに、もっと後者的な話が多くあってほしかった、という感じ。そうでないと、気象予報士、という意味づけが薄くなってしまうだけに。

No.3828

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  • 2015.10.17 (Sat) 12:01 | 刹那的虹色世界