(書評)季節はうつる、メリーゴーランドのように

著者:岡崎琢磨



高校時代に知り合った夏樹と冬子。二人は、奇妙な出来事に説明をつける「キセツ」を趣味とする唯一無二の親友だった。ただし、それは、夏樹の冬子に対する恋心を封印した上で成立する微妙な関係でもあった。冬子の大学卒業を前に再会した二人は、久々に「キセツ」をすることになって……
ということで、物語は基本的に、冬、春、夏、秋と、それぞれの時期で、それぞれ奇妙な出来事が起こり、その謎を解く、という日常の謎ミステリとして展開する。
冬、神戸の町で記念撮影を頼んできた男女の関係は一体、何なのか? 冬子の恋人が送ってきたコスモスの写真の謎。冬子は、なぜ、冬子という名前なのか? 遊園地に置き去りにされた少女の謎。それぞれ、冬子、そして、夏樹がそのことに説明をつけて、という形で説明がされる。まぁ、日常の謎らしく、結構、説明はできるけど、根拠はないよね、というものがあったりするが。特に1編目については、正直、それ本当なのかな? と感じたりするし(そもそも、その真相だったらなぜ、男性はビジネスバッグなのだろうか?)
ただ、そのような中で、物語はだんだんと夏樹と冬子の関係へとシフトしていく。
天真爛漫で、ちょっと鈍感なところもある冬子。そんな彼女へ思いを告げようとするが、しかし、それをいえなかったり、はたまた、上手く阻止されてしまったり……。そのような中、作中で2度目の冬……
ここまで、確かに「あれ?」「ん?」と思うようなところがあったのは確か。でも、目の前の謎の方をメインに見ていたため、完全にそれを見落としていた。そして、その物語の結末……。ある意味、この結末って、冬子が選んでしまった結果なんだよね。夏樹の気持ちを理解して、でも、それまでの関係が崩れるのを恐れて……。作中で、冬子の恋愛関連も変わっているのに、その関係だけは、ということはあり得ないわけで……
日常の謎ミステリから、しっかりと二人の関係へという結末。しっかりとまとまった佳作だと思う。

No.3840

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