(書評)アノニマス・コール

著者:薬丸岳



3年前に警察を辞め、家族とも離れて暮らす真志。そんな彼の元へ無言電話が掛かってくる。気になって、離婚した元妻に連絡をすると、娘が何者かに誘拐された、という連絡があったことを知る。とある事情から、警察を信頼できない真志は、自ら誘拐犯を探ろうとして……。一方、妻であった奈緒美もまた、独自に調査を始めて……
著者の作品と言うと、司法の問題とかを中心に描いてきたのだけど、本作は純粋なエンタメ作。この前読んだ『誓約』でも、警察から逃げながら、真犯人を追う、という展開もあったりで、そういうシーンを描きたかったのかな? と感じたり。
物語は、元警察官で犯人を追う真志。そして、元警察官で、真志の妻であった奈緒美。2つの視点を交互に繰り返す事で展開する。
3年前、薬物中毒の男が起こした事件を独自に調べていた矢先、全く身に覚えのない罪で逮捕されてしまった真志。自分の調査が、何かの地雷を踏んでしまったらしい。そして、誘拐犯の要求は、最初は金であったが、狙いは自分の持っている情報。しかし、それは何なのか? そもそも犯人は誰なのか?
一方、奈緒美はその夫の事情を何も知らない。ただ、いきなり暴力団との癒着で逮捕され、何も言わずに離婚を言い出されてしまう。そんな夫が言い出したのは、警察には知らせるな、とのこと。しかも、金を払ったのに娘は戻ってこない。夫も誘拐犯の一味? 夫に対する疑惑を抱きながら、しかし、一方で、夫が単純に犯罪に走ったとも思えなくて……と、夫への理解を深めていく。
警察に追われながら、一方で、娘を誘拐した犯人は誰なのか? という流れのスピーディーさ、テンポの良さは見事。単行本で400頁あまり、というのにそれを感じずに読めるのは見事だと思う。ただ……正直、真志が仲間を集める際の流れ、はたまた、真犯人の行動……などなど、色々と強引さを感じずにはいられなかった。そもそも、真志が逮捕されちゃったら、そこで終わりじゃない? 真志の行動を完全にコントロールできない以上、リスクしかないような気がするんだけど……。勢いで楽しめるのは確かだけど、ちょっと考えてみると無理筋だなぁ、と言う感じ。

No.3842

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