(書評)謎好き乙女と壊れた正義

著者:瀬川コウ



紫風祭。藤ヶ崎高校の学園祭を早伊原樹里と回ることになった春一。しかし、その道中、次々と「謎」と遭遇する。消失した紙吹雪、模擬店とは異なった看板を並べる実行委員、合わない収支に、謎の告発文。その最中、ある人物が暗躍していることを知って……
前作で完結したと思っていたらまさかの続編。描きたいテーマはわかるのだけど、ちょっと蛇足感があるかな、と……
前作では、基本的に、連作短編形式で綴られていたのだけど、今回は、連作短編っぽい形は取っているけど、完全な長編となっている。というのは、物語は冒頭に書いたように、次々と細かな謎が出て、それを解決する形ではある。ただ、前作は、そこでそれぞれが納得して解決、となるのだけど、本作では明らかに謎が残っていたり、違うだろうというのがあからさま。しかも、主人公の春一が何かを企んでいることも明らか。それは……となる。
正直なところ、なんか、連作短編的な謎にあまり魅力を感じなかった。何と言うか、そんなに同じ日に、次々と不可思議なことが起こるかよ……と言う感じになってしまって(根本的に否定してしまって申し訳ない) だから、それを合理的に、となると、何らかの意思がそれを次々と起こしているのだろう、ということが見えてしまう、というのも大きいかもしれない。
ただ、その一方で、前作の話で大きな転換点を迎えた春一の悩みはわからないでもない。謎を解く、ということを求め、それで調子に乗って大きな問題を作ってしまった春一。その経験が、今度は真逆のベクトルで出て……というのは……。そして、そのあまりに過剰な自分が泥をかぶって、という春一に対する樹里の苛立ち。その両者の攻防はなかなか面白かった。それだけに、もうちょっと謎が魅力的ならばなぁ……というのも感じたのだ。
最終的に、樹里の過去とかに関する謎が提示されたわけだけど、次作でそれがあきらかになる……のかな? そして、それを自分が読むかどうかは……わからない。

No.3854

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