(書評)のぞきめ

著者:三津田信三



編集者時代から、様々な怪異譚を集めている私は、民俗学者・四十澤が昭和初期に残した一冊のノートを手に入れる。そこに書かれていたのは「のぞきめ」という憑き物について描かれたもの。そして、それは現代、辺鄙な別荘地で起こった怪異譚とリンクするものであった……
以前、著者の『どこの家にも怖いものはいる』という作品を読んだとき、本作と構成が似ている、という感想を目にしたのだけど、確かに読んでいてそれを感じた。ただ、こちらは最初からリンクしていることが明らかで、時代、視点を変えての違いから共通点を探るという形になっている。
とりあえず、作中作といえる2つの物語。
前半は、辺鄙な別荘地でのバイトを始めた大学生・成留たちが出会う怪異。文字通り、「山奥」という別荘地。他に何もないそこには、獣道のように山中に続く道がある。そんなところで、仲間の一人が母娘連れの巡礼者に出会い、その奥へ向かうのだが……。怪異譚ではあるのだけど、印象としては都市伝説とか、そういう雰囲気が漂っており、何かわからないけど怖い。そんな印象を与える。
対して、後半は昔ながらの「怪談」という印象。大学で出会った友人が語った故郷の奇妙な風習、そして、のろわれた自らの家。そして、その友人が亡くなった、ということを知り、その村を訪れることに。そして、そこで起きる大量殺人……。時代が違う、というのはあるのだけど、風習とか、呪われた家とか、そういうのはいかにも横溝正史とかの作品にありそうなおどろおどろしい印象。前半の話とのリンクとかも面白いのだけど、その雰囲気の違い、というのを何よりも楽しむことが出来た。
終章で、その双方についての謎解きをしていくわけだけど、このあたりの完成度は、『どこの家にも~』よりも上だと思う。勿論、作中作の数とか、そういうのもあるんだけど、作中の物証とか、民俗学的な視点とか、そういうものを取り入れての解釈は十分に納得できるものだった。まぁ、しなくて良い、って意見もあるかもしれないけど、著者の味がここだからねぇ、ということで(笑)

No.3863

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