(書評)谷中レトロカメラ店の謎日和

著者:柊サナカ



東京の下町、谷中にあるレトロカメラ店・今宮写真店。中古のクラシックカメラを専門に扱うこの店には、様々な客が、謎と共に訪れる。「修理の基本は観察です」 そういう店主の今宮は、そんな謎を次々と解いていく。そんな店に、アルバイトとして雇われた来夏にも、ある謎があって……
ということで、レトロカメラ、もっと平たく言えば、フィルムカメラを中心としたカメラ専門店で、そのカメラ、写真などにまつわる謎を解く連作短編集。どちらかというと「日常の謎」系の話かな? と。ただ、印象としては、謎解きそのものよりも、それの解決などを通しての人情話のように思える。
例えば、2編目。祖父の影響で、カメラに興味を持った少年。勿論、子供なので大した金も持っていない彼だけど、しかし、カメラのことが大好きで、いわゆる「ジャンク品」をしばしば購入しに来る常連になった彼。そんなある日、母親にそれを捨てられてしまう。その結果、「荒れた」という彼のしたことは……?
謎解き、と言っても、ぶっちゃけ、私のようなカメラ知識皆無な人間には想像のしようがない。でも、子供らしい、バカバカしくも壮大な計画と、そんな少年の為に色々と計らう今宮に癒しを感じた。1編目が、謎解きというより、プロローグのようなエピソードなので、実質、最初のエピソード。そこでカラーをしっかりと見せられたように思う。
個人的に好きなのは5編目。
最近、今宮写真店のある商店街では、薬局のマスコットであるカエルのキャクター人形が移動する、という謎の事件が起きていた。そのような中、今宮写真展で強盗事件が発生して……
と、書くと凄くシリアスな感じなのだけど、キャラクター人形も強盗も実は前振り。その裏にある問題というのが、なかなか面白い。犯人がその行動を取った理由。そして、それを知った上での、今宮の解決策。ある種、お笑いなそのオチも含めて、私は一番気に入った。
1編目から綴られている来夏の秘密、については、正直、「ふーん……」くらいだったのだけど(予想していなかった、と言えば、そうだけど、でも、そうあってもビックリとは思えなかった)、その上での結末。……これ、結局どうしたの? リドルストーリーっちゃあそうなのだけど、ちょっとズるいと思う。

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