(書評)花のさくら通り

著者:荻原浩



倒産寸前のユニバーサル広告社。都心から移転した先は、少子化やスーパーの進出で寂れている「さくら通り商店街」。しかも、和菓子屋のビルの2階。そんな商店街の祭り、「さくら祭り」のチラシを頼まれたことから、商店街の活性化案を考えるのだが……
『オロロ畑でつかまえて』『なかよし小鳩組』に続くシリーズ第3作。と言っても、前作を読んだのは、9年前なので、大分、設定を忘れていたのだけど……。ついでに言うと、前2作は随分とドタバタとしていた感じがするのだけど、今回はその面影は感じさせつつも、結構、真面目な物語の展開の仕方をしている。
物語の導入としては、街で頻発している放火事件の見回りにユニバーサル広告社の面々が参加するところから。その流れから、チラシ作成を頼まれる。そして、その場で、ユニバーサル広告社は、この商店街の問題点を指摘するのだが……
なんていうか……厄介だよね、と(笑)
外部の人間だからこそ目に付くところが多々ある。しかし、それはその世界にいる人間としては「ここの常識」として当たり前になっており、それを変えることはタブーになっている。しかも、そこでの不正やら何やらも……。ただ、その一方で、そういう、良い意味で空気を読まない存在がいることで、空気そのものが変わっていく。確かに、口では反発していても、それでも、変わっていく面々。けれども……
物語の見所は色々とある。お寺の息子である光照と教会の娘である初音の恋。口下手で、トークなど全く駄目な和菓子屋の2代目である守。さらにユニバーサル広告社の社員・杉山の事情。それぞれが、この中で、成長していく、というのはやはり見所だろう。
ただなぁ……そんなユニバーサル広告社を中心として、変えようという勢力をことごとく潰そうとする商店会トップがあまりにも……。単純に老人の愚痴ってだけじゃなぁ……。結構、真面目にやっている部分があっただけに、そのあたりにもう一押しあってもよかったなぁ、と素直に思う。
でも、十分、面白かった。

No.3890

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