(書評)ざるそば(かわいい)

著者:つちせ八十八



夏の日。ざるそばの出前を注文した笹岡光太郎のもとに届いたのは、自称・麺類寄りの魔法少女・姫ノ宮ざるそば。呆然とする光太郎の前で、ざるそばはいきなり麺類スポンサーの契約を解除されてしまう。ざるそばの、超人類的かわいさに正気を奪われた光太郎はスポンサー探しに身を投じることになって……
第11回MF文庫J新人賞、優秀賞受賞作。
ええと……これは何を書けば良いのだ? そんな根本的なところに迷いを生じさせる驚愕の一作。
とにかく、感想を一言で言えばカオスの一言。冒頭に、導入部を書いたわけだけど、それだけでもカオスでしょ? 「麺類寄りの魔法少女」って何? そもそも「ざるそば」って何?(ちなみに、姫ノ宮ざるそば、は本名) 「ざるそば」だから、床に座らず、テーブルの上に座る。コタツは布団を挟んで机の下に……ではなく、なぜか机の上に布団を持ってくる。
うん、自分で書いていて、何が何だかわからん! しかも、ざるそばをざるそばしたい、とか謎の言語まで混じってくるのだから。「奇書」という意味では、これほどの「奇書」はないだろう。とにかく、この作品を書いた著者、それを選んだ編集部、すげぇ!
……と書いたのだけど、実は意外とバランスが良い作品なのではないか、とも思う。
設定がカオスな作品。それ自体はしばしば見かけるところである。けれども、最早、主人公自体もその世界にはまり込んでいて読者置いてけぼり、ということが多いのだが、本作の主人公・光太郎はツッコミ役として読者の想いをしっかりと代弁してくれる。設定とかのわけのわからないところについて、しっかりと想いを同じにしてくれるので置いてけぼり感を感じるところがなかった。そして、終盤、半ば、その諦めも含めて世界観を受け入れる頃には、読者である自分もまた、同じ心境に至っていた。何と言うか、下地がしっかりとしている上で、カオスにもって行っている、とでも言うか……
とりあえず、そんな作品なので、感想は一個。
ざるそば、かわいい!
……当初、通販サイトの内容紹介にそれしか書かれていなかった理由。読むと、それを理解することが出来た。

No.3892

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