(書評)郵便配達人 花木瞳子が顧り見る

著者:二宮敦人



8月。郵便局で、還付不能郵便の処理を担当する夏生は、鉄庫の中に奇妙な手紙があるのを見つける。それは、「サンタさんへ」とだけ記され、住所も氏名も不明なもの。そして、その中には、奇妙な、そして、不気味な文言が綴られていた。一方、配達員である瞳子も、配達にその手紙が紛れ込んでいたことに気付き……
これ、何を書いてもネタバレになりそうで怖い。ただ、これ、気付く人は序盤で気付くんだろうな、というのは思う。作中で出てくる薀蓄部分が特殊なだけに。
今回のエピソードは、冒頭に書いたように奇妙な手紙の処理を任された夏生。そして、配達中に奇妙な手紙を見つけた瞳子、双方の視点で展開していく。
奇妙な手紙を見つけた夏生。住所、差出人などが不明なため、還付が不可能な手紙。なので、その手紙を開き、そこに差出人や宛先に繋がるヒントがないかと言うのを探るわけだが、それを捜すと書かれていたのは、文字はたどたどしいながらも非常に不気味で、恐ろしさを感じる文章。上司に相談するが、取り合ってもらえない。それでも気になり……
対して、瞳子は、その手紙をきっかけにして、幼い頃に女性と心中した父親のことに思いを寄せる。そして……
どちらかというと物語はサイコサスペンスという感じ。まぁ、過去のシリーズでも犯人はかなりアレな状態な人が多かったわけだけど、今回はその中でも群を抜いている。怖い、のは怖いのだけど、最早、怪物を見る感じ。著者は、どちらかと言うと、ホラー色の強い作品を描いてきた人なだけにこういうキャラクター造形は得意なのかもしれない。
まぁ、前作で登場したキャラクターである水野が、今回もかなりいい感じに活躍。結構、便利に使われているような感じもあるけど、ここ一番で瞳子の迷いを断ち切ったり、ピンチを救ったり……とか、格好良いところも多数。先の狂気があるだけに、こちらも光っている。謎解き、というよりも、瞳子と水野の関係性で読む、というのも十分にアリかも知れない。
正直、郵便ネタはどんどんネタが減っている気がするのだけど、瞳子と水野の関係は気になるので続けて欲しい気もする、という何とも悩ましい気分。

No.3893

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