(書評)晴追町にはひまりさんがいる。 はじまりの春は犬を連れた人妻と

著者:野村美月



心に傷を抱えた大学生・春近は、眠れない冬の深夜、散歩に出かけた公園で一人の女性と出会う。もふもふの白い毛を持つサモエド犬の有海さんをつれた彼女の名は人妻であるひまりさん。晴追町で起きる謎と、そこに住む優しい人々と触れ合ううち、どんどんとひまりさんに惹かれていって……
購入してから、結構、時間が経過してしまったものの、講談社タイガの刊行ラインナップの1作。そして、著者にとって、非ライトノベルレーベルから出したはじめての作品。……といっても、個人的に、「ライトノベルって何?」的な部分はあるんだけど……
冒頭のところに「謎」と書いたのだけど、謎解き、というよりも、トラブルシューティングに近い感じかな? と。昔から、好きになる相手は、いつも結婚した女性であった春近。そんな彼の周囲の人々。それもまた、主に恋愛に関してのトラブルが発生する。
同じサークルの同級生・巴崎。好きな異性を追って入った大学だが、その異性は亡くなってしまった、という。タブーともいえる、その相手は? そして、思いつめた様子が伺える彼女をどうすれば良いのか? はたまた、2代目の幼稚園園長は怖い人? 突然、態度がおかしくなってしまったという先輩の彼女の理由は?
ぶっちゃけ、それぞれ、謎というほどの謎はない。お人よしである主人公の春近がちょっと先走って……で真相がわかって、というだけだから。ただ、その中での雰囲気が凄くいい。主人公と同じく、ちょっと普通と違った性癖を持つクールビューティー・巴崎とのやりとりだったり、強面だけど何気に面倒見の良い園長だったり、そして、ひまりさんだったり……。それぞれが、クセがあるのに、クセがない……というか、透明感のある、爽やかな人々として描かれていてその魅力がそのまま、この作品の魅力になっているように感じられてならない。
凄く言い表しづらいのだけど、とにかく、雰囲気のいい作品だったな、というのが何よりもの感想。
しかし……方向性が違うとは言え、『SとSの不埒な同盟』といい、本作といい、ここのところの著者の新作、なんか性癖ネタ多いなぁ、と(笑)

No.3894

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