(書評)MONUMENT あるいは自分自身の怪物

著者:滝川廉治



人類が火を熾すよりも先に、発火の魔術に目覚めた世界。旧ソ連の少年工作兵にして、現在は、フリーのエージェントであるボリス・カルノフに一つの依頼が入る。それは、1億人に1人と言われる「賢者」の魔術資質を持つ少女・千種トウコの護衛。彼女が所属する「ピラミス魔法学院」を卒業するまでの長期任務のため、まずは、トウコの妹・ナナコに近づくのだが……
結構、壮大な物語であり、読み終わってようやく世界そのものを理解できた感じ。
まず、物語の設定としては、旧ソ連という言葉が表しているように、少し前の地球が舞台。そして、人々は魔術を使うことが出来る、という設定ではあるが、それ以外の部分では概ね世界史の教科書と同じように時間が流れている。そんな世界で繰り広げられる物語。
護衛の任務、ということにはなっているのだけど、実は護衛していない(笑) そして、物語は冒頭から、アクションシーン多めに展開する。最初に書いたように、護衛相手であるトウコの妹ナナコに接近し、チョロインである(笑)ナナコをアッサリと懐柔。ところが、直後に化物状になった人間に襲われる。さらに、偽警官に拉致され、拷問を受け……
アクションシーンが次々と発生する中で、だんだんと浮かび上がってくる謎。ただのエージェントでしかない自分を狙う理由は何なのか? そもそも、そんな自分を雇ったのは何者なのか? その意図とは……? 次から次へと事件が発生し、色々な要素が明らかになればなるほど、どんどん謎が膨らんでいき、暗中模索な状況へと陥っていく様にはなかなか引き付けられた。そして、全てが明らかになったとき……
正直、結構、淡々と物語が進んでいくのと、キャラクターが弱いかな? と思うところがあったのは確か。特に敵対するような形のキャラクターとかちょっと出て、いきなり敵対とかばかりだし。まあ、1巻で物語を完結するためには、色々と難しかったのだろうとは思う。それでも、もうちょっと掘り下げがあっても良かったかも。とは言え、読後感は凄くよかった。

No.3895

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