(書評)消滅 VANISHING  POINT

著者:恩田陸



9月30日。台風が接近しつつある国際空港。折りしも大規模な通信障害が起きている中、日本へと帰国したばかりの11人の男女が、入国審査で呼び止められ、別室に集められる。この中に「消滅」というコードネームのテロを起こそうとしているテロリストがいるという。世間から隔絶された空港で、テロリスト探しが開始される……
ええっと……「某空港」って書かれているけど……羽田だよね? 普通に「成田じゃなくて」とか、品川がキーポイントになっていたりとか、どー考えてもねぇ……。著者の作品って、バレバレなのに意味もなく伏せている気がするのは気のせい?
11人の男女が集められ、その中にテロリストが! それが判明しない限り出ることは出来ない。そんなシチュエーションというと、石持浅海氏の作品のような感じがする。ただ、石持氏の作品だと、それぞれが自分はテロリストじゃない! いや、こいつがテロリストだ! かくかくこういう理由で! と論理性を用いての議論がひたすらに繰り広げられるのだけど、そういうやりとりがされつつも、別の雑談になっていったりとかするのが著者らしい。
物語は、ここまででも書いていたように「テロリストを見つける」こと。しかし、そのテロはどういうものなのか、すらわからない。しかも、「消滅」とは? しかも、そのテロリストも、グループもそれまで表に出たことはなく特徴もわからない。大体、テロリストが、自らの行為をテロと自覚しているのかもわからない。故に、議論は全く進まずに推論が次々と重なっていくだけ……。こういう風に書くと、グダグダに思えるのだけど、誰がテロリストで何をするつもりなのか? という根本の謎に、進行役であるロボットのキャスリン、さらに超能力を持った少年と言った存在が加わることで何があってもおかしくない、という緊張感に繋がり、どんどん読み進めることが出来た。その意味では非常に面白かった。
ただ……オチがなぁ……
いや、脱力モノのオチでも構わないのだけど、その脱力の方向性が……。いくらなんでも、そんなしょーもない情報で多くの人を隔離しますか? 不条理とか、曖昧なまま、でなくて、一応は現実的な解答が示されているだけにその想いが強くなった。
いや、ワガママだというのは理解しているんだけどね……

No.3899

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