(書評)東京結合人間

著者:白井智之



男女が互いの身体を結合し、結合人間となることで生殖が可能となるように進化した世界。その過程で、1%程度の割合で、一切の嘘をつくことが出来ない「オネストマン」が生まれてしまう。そんなオネストマンになってしまった圷は、ある広告に目を留める。それは、オネストマン7人が無人島で共通生活をし、その中での出来事を撮影するドキュメンタリー映画の出演者募集だった。ところが、その島へ向かう途中、クルーは行方不明。たどり着いた島では、殺人事件が起きて……
というような紹介文がネット書店などには綴られているのだけど、実は、それは物語の第2部に入ってから。
プロローグでの、よくわからないけど、妙に生々しい「結合」シーン。そして、第2部で行方不明になるクルーであり、売春組織である「寺田ハウス」の面々となるビデオ、ネズミ、オナコの3人の日々を綴る第1部が綴られる。
ぶっちゃけ、このプロローグと第1部のインパクトがとにかく凄い。プロローグは先に書いたので割愛するのだけど、第1部もその路線で展開する。売春組織、というだけでも裏社会という感じだけど、その中で寺田ハウスの面々は、まさに無軌道そのもの。客の要求に応えるため、何でも従う少女を差し出し、そして、その少女は今や衰弱死寸前。そんな中で、それでも無軌道に暴れる中で、その少女・栞が何を狙っていたのか、という謎が出てくる。これだけでも、ダークなミステリとして成立している。
が、そんな面々が、ある意味、自業自得の最後をとげ、その面々が孤島へと投げ出されての第2部。
こちらは、それまでのダークなカラーとは打って変わって、非常にオーソドックスな本格ミステリ色に。孤島の島で起こる連続殺人。嘘がつけないはずのオネストマンしかいないはずのに、「犯人はあなた?」という質問には皆が「No」と回答。それは一体?
何と言うか、構成が上手いな、と感じた。冒頭に、何かよくわからないが妙にエロスを感じさせるシーンを入れつつ、1部で、2部では現実世界でも別に良いのでは? という話でそのあたりの印象を減らし、そして、エピローグでの本当の真相。確かに、これなら、合理的におかしな部分はクリアできる。わかっていたのに忘れていたのが悔しい。
まぁ、エログロ耐性がない人にはオススメしづらいけど、なるほど、確かに年末のミステリランキングで上位に来ただけのことはあるな、と感じた。

No.3900

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