(書評)メビウスの守護者 法医昆虫学捜査官

著者:川瀬七緒



西多摩の山中で、男性のバラバラ遺体が発見される。警視庁捜査一課の岩楯は、山岳救助隊員の牛久とコンビを組み、捜査にあたることに。そして、聞き込みによって判明したのは、地元の集落では地元から孤立した2つの家があること。そんな中、司法解剖による死亡推定日と、赤堀の出した昆虫による死亡推定日にズレがあることも判明する……
シリーズ第4作。
前作である『水底の棘』が、正体不明の死体とそこについていた謎の虫の正体は? という、ヒントが全く無いところから、死体は誰なのか? というシンプルな、しかし、難しい謎を解く物語。そして、本作もまた、死体は何者なのかわからない状態で、司法解剖と昆虫学の所見の不一致という謎からスタートする。
ただ、今回は、前作と比べるとわかりやすかったかな? という感じがする。
良くも悪くも、シリーズを読み続けているので、ある程度、法医昆虫学ではどういうところに注目するのか? どういうときに異変が起きるのか? というようなパターンが見えている、というのが1つ。もう1つが、今回はあからさまに怪しい2人と、もう1人の重要人物という構図になっているため、じゃあ、この人だろう、というのが予想できてしまうため。いや、ミステリ読みのメタ視点という、実際の捜査とはかけ離れた理由で、なのだけどね(笑)
ただ、それでも飽きることなく読み進められるのは、話の入れ替えを上手く行っているから。
司法解剖と昆虫学の所見が異なる理由が中盤で明らかになると、今度は、新たな昆虫に関わる謎が浮上する。そして、その怪しげな人間がどんどん不利な状況になっていくのだが、関係者同士の捻じれきった人間関係が明らかになり、ある意味、面倒くさい真相へと達する。前作が、シンプルな謎を、捜査状況の段階の緩急で読ませたのだとすると、本作は謎の出し方に緩急をつけて最後まで読ませる作品に仕上げたように感じる。
虫に関するグロテスクさについては、慣れてきたけど……今回の「雨」は、想像するとすっげー嫌(笑)

No.3908

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