(書評)黄昏街の殺さない暗殺者

著者:寺田海月



裏社会で名の知れた暗殺者・レヴン。仕事の最中、倒れてしまった彼は、貴族の文化である「菓子」を庶民に広めようと貴族でありながら、自ら店を切り盛りする少女・カミーリアに助けられる。そして、そんな彼女からある仕事を依頼される。それは、「傍にいて、誰も殺すな」という奇妙なものだった……
多少、詰め込みすぎかな? というのはちょっと思う。というのも、途中、学園パートみたいなのが出てくるけど、あまり意味がなかったような感じがしたから。とは言え、その部分を除けばかなり楽しかった。
とにかく、この作品の場合、ヒロインであるカミーリアの成長、というのがメインなのかな? と感じる。
周囲から「クッキー馬鹿」と言われるカミーリア。確かに、その言葉は当たっていて、ある意味ではとことん綺麗事である主張をひたすらに続ける。レヴンは、それに呆れるのだが、しかし、馬鹿は馬鹿なりに、と言うと何だけど、その綺麗事のために、頭を働かせる。そもそも、レヴンを雇ったのも、成金貴族と言われやっかみの対象となり、貴族なのに菓子文化を庶民に、ということで嫌がらせを受けている。それに対して、対策を採っている、ということをアピールすることが目的。勿論、実際に殺してしまったら「血生臭い店」という評判が出来てしまうのでそれはさせない……
そんなやりとりで物語は中盤まで進むのだが、そこから急転直下。
クッキーで皆を幸せに。そんなカミーリアの行動の影にあった黒い策謀。そして、その為にかけがえの無い存在が自分の夢の為に犠牲になっていたこと。さらに、レヴンの過去も絡んでいることを知って……
主人公はレヴンなんだけど、アップダウンという観点で言えば、明らかにカミーリアの方があったわけだし、一度は、その現実に打ちのめされながらも、「復讐として」綺麗事を貫く。それって、滅茶苦茶に覚悟が必要なことだし、そこまでの成長が凄くよかった。手堅くまとまった佳作だと思う。

No.3910

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