(書評)ドリームダスト・モンスターズ

著者:櫛木理宇



悪夢に悩まされる女子高生・晶水。クラスでも孤立した彼女に、なぜか付きまとってくるお調子者のクラスメイトの壱。彼は、他人の夢に潜る「夢見」という力の持ち主。そして、壱が晶水の夢の中で見つけたのは……(『ドリームダスト』)
など、4編を収録した連作短編集。
著者の作品はこれまで『ホーンテッド・キャンパス』シリーズを追いかけてきたのだけど、それ以外の作品では初。と言っても、ちょっと不思議な設定があること。また、連作短編集であること、など共通しているところも多いな、と感じる。
冒頭にも書いたように、物語は悪夢に悩まされ、十分な眠りにつくことが出来ない依頼者が、壱(の祖母)の元を訪れ、夢見を行う。そして、その夢から、その理由を判断する、という流れ。ただし、この作品の特徴というのは、推理をしない、というところ。というと、多少、語弊があるのだけど、壱たちがこうではないか、と言う謎解きをするのではなく、あくまでも壱たちは「見るだけ」。その上で、依頼人自らが自分が忘れていた、目を逸らしていた出来事に向き合うことを手伝う、という形式を取る。
正直なところ、物語の主人公・ヒロインたる晶水の過去を巡る物語なのだけど……これがちょっとスッキリしない。将来を嘱望されたバスケ選手だった晶水。しかし、危険だとわかっていた道に行き、母は事故死、自らも大怪我を負ってバスケ選手としての将来を喪った。そして、それ以来、その道での事故などを夢に見ている……
壱の祖母・千代が言うように、この話は、色々な要素が複雑に絡み合ったことで事故中毒を起こしている。これは多分、間違いない。ただ、その上で刑法犯罪も含めちゃったことで、何か凄くはっきりとしない話になっちゃったな、という感じ。
逆に、長い髪の毛の夢という2編目。『金の斧、銀の斧』のような夢の3編目。こちらは晶水が傍観者的な立ち位置になったこともあり、より素直に楽しむことが出来た。そして、女系家族の家の、跡継ぎ息子が悪夢を見た、という4編目……
女性ばかりが生まれ、男は生まれても短命。しかも、婿としてやってきた男もまた……。そんな家の跡継ぎ息子の夢から判明するもの。そこまでは、どちらかと言うと、夢の中のヒントで、その過去を純粋に、という話だったわけだけど、このエピソードの依頼人的存在は、年端もいかない子供。そして、その夢の中のヒントから判明する極限の悪意……。そこまでは、自分自身の後悔とか、そういうものに向き合う、という話だっただけに、最後のエピソードのインパクトが強烈だった。
まぁ、『ホーンテッド・キャンパス』と同様に、晶水と壱の関係とか、そういうのも今後、増量されていくのだろうし、シリーズ2作目も読んでみようと思う。

No.3918

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