(書評)ぼくのゆうしゃ7

著者:葵せきな



魔王陣営と勇者陣営の全面対決! そんな状況の中、暴走した魔人スーリムの強行により、ルゥは死亡してしまう。そして、その状況の中、トオルは言う。「ぼくは、人間の味方をやめるよ」 仲間を見捨て、スーリム側につくことを宣言したトオル。人類、魔王、勇者、勢力は三つに分かれて……
なんというか、RPGで言うと、ラストダンジョンに向けての緊迫状況が膨れ上がってきた場面、という感じ。
6巻で、トオルの兄ヒロキが、ルゥの正体で、ルゥは実はトオルを殺そうとしていた。ただし、それは勇者としての仕事を全うすると何でも願いをかなえられる、というものを使い、トオルは自分の命と引き換えに兄を蘇らせようとするだろう、という判断から。そして、それを知ったトオルは、自らの願いを確実にかなえるために人類側とも距離を置くことに……
とにかく、三者三様の思惑がコレでもかと詰まっていて、非常に内容の濃い一冊。
トオルの目的は、先に書いたこと。しかも、この巻に関して言うと、現代パートにおける義母の視線から、トオル、ヒロキの過去、現状というのが語られるのでよりそれが深くわかる。両親を亡くしたトオルを引き取ってくれた義母たち。良い子でいたい、と思うのだけど、義母の本当の子は病に倒れ命の危機に。義母が嫌っているのはわかっているが、しかし、決して悪人ではないこともわかる。そして、義兄であるヒロキは本当に自分によくしてくれている。このチャンスにおいて、周囲が最も幸せになれるのは……。ぶっちゃけ、トオルが本当に小学生かよ、ってのはあるけど、逆に小学生だからこその思いの強さかも、と思えてくる。
一方で、セシリア、ファルディオら。女神教会の様々な内実を知り、教会から距離を置くことに決めた。トオルにしろ、魔人にしろ、ある意味、どうでもいい。でも、一緒に旅をしての絆はある。理屈じゃなくて、感情が、トオルを止めたくて仕方がない。
そして、魔王側。自分達の創造主たる女神。それを殺したのは審判者。理屈は色々とつけている。でも、ヨルの心に常にあるのは、単純に創造主を封印した審判者が嫌いだ! それだけ。でも、だからこそ純粋で強い。
終盤の魔人VS人類の決着の戦いとかもかなり熱いものになっているし、どこをとっても濃密、という感じで非常に面白かった。そして、ラストシーンの意味するものは……? 最終巻も楽しみ。
……あと、16頁に渡る著者のあとがきも、色々と凄い(酷い)ことになっている(笑)

No.3927

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