(書評)ヘブンメイカー スタープレイヤー2

著者:恒川光太郎



バイクで横須賀へと向かう途中、トラックに幅寄せをされて……。気付くと殺風景な部屋にいた孝平。周囲には、同じような人々が多くおり、そこは「死者の町」と呼ばれる場所であることを知る。人々は探検隊を組み、町の外の調査を開始する。一方、片想いの女性を理不尽な事件で喪った大学生・佐伯逸輝は、自暴自棄になっているとき、奇妙な男に出会い、スタープレイヤーとなる……
スタープレイヤー』の続編というか、同じ世界観を持つ別作品。ぶっちゃけ、「スタープレイヤー」のルールとかもちゃんと説明されているので、前作を読んでいなくとも十分に楽しめると思う。
物語は、冒頭に書いたとおり、孝平、逸輝という2つの視点で綴られる。トラックの無茶な運転によって死んだものの、不可思議な世界で復活した孝平。生まれ故郷の町とそっくりであるが、色々と不可思議なところがある世界。そこで同じような境遇の人々と出会いやがて開始するのは、世界の冒険。見ず知らずの人々。しかし、同じ境遇の中でだんだんとコミュニティとしての体裁が出来上がっていく辺りは、前作とは違った意味でシミュレーションゲームっぽくて楽しかった。
でも、それ以上に、逸輝の話が好き。
片想いの女性を喪った中で、スタープレイヤーとなった逸輝。そこで願ったのは、片想いの相手・律子の復活。そして、ある意味では、二人だけの世界。ある意味、それは恵まれた世界。しかし、他のスタープレイヤーという闖入者により、その世界は崩れてしまう。そのような中でも、律子に優位な存在でいようとし、それが亀裂へ……。好きな人と二人だけの世界を作りたい。崩れても、自分をちょっとでも上に見せたい、という自尊心。それが……っていうのはいかにもよくある失敗だし、その上での、再びの自暴自棄……
ある意味、開き直っての「イカサマ師」として、宗教的な聖者へと上り詰めていく様。しかし、その中で、「そんな生き方が楽しいの?」という律子の言葉が痛く痛感される日々……。用意周到さとか、そういうのは確かに、十分に思慮深いのだけど、でも、ここ一番での弱さとか、凄く人間臭さがあってよかった。勿論、彼のスタープレイヤーとしての結末も……
早い段階から、ある程度、二つの話の繋がりはわかるのだけど、それでも、逸輝の思惑がどこにあるのか、とか、そういうところで真相は何なのか? と予想するのが楽しかった。そういう意味では推進力も十分にあると思う。

No.3928

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