(書評)降りかかる追憶 南青山骨董通り探偵社3

著者:五十嵐貴久



雅也が担当することとなったのは、女子大生の依頼でストーカーからの護衛。深刻な状況のようだが、いざ警固に入ると比較的、安全な状況。そのような中、気になって仕方がないのは、金城と玲子の関係で……
シリーズ第3作。
個人的には、これまでのシリーズで一番楽しかったかな?
雅也が護衛をすることとなった女子大生。恋人として付き合っていた男の名は後藤。自称・保険会社の外交員ということだが、会社に問い合わせると、そのような社員は存在していない。別の場所では大沢と呼ばれるこの男は、一体何者なのか? そして、あるときを気に姿を消してしまっているというあ……
分量自体、240頁あまりと少ない中、護衛という任を負う雅也。送り迎えに張り込み。そういう地味な作業に勤しむ。しかし、ストーカーが現れる気配はない。ある意味、間延びした感じなのだけど、そこに金城と玲子の過去という話を挟みこむ形で上手く話を繋げているな、というのを感じる。それが直接、事件に関係しているか、というのはともかくとして。
そして、その玲子が何者かに拉致されて……からの急展開。
犯人探しの中で出てきた依頼人についての評判。後藤という男の現状。それらから考えて、ある程度は予測できる真相ではあるのだけど、でも、伏線だとかをしっかりと回収させてまとめる手堅さは見事の一言。その上で、この女子大生、家族の人間性……
犯罪者にしろ、被害者にしろ、完全な人間なんていうのはいない。誰にだってエゴはあるし、欠点だってある。それが、上手いこと、歪な形のピースとなり、しかも、何の勢いか、しっかりとはまってしまった結果がこの作品の事件、ということになるのだろう。基本的な後味は悪いのだけど、でも、その辺りをしっかりと指摘したラストシーンでの金城は格好良かった。第1作のときの、雅也が、この人の下でなら、という思いを抱いたのと同じ感情を抱くことが出来た。
シンプルだけど、しっかりとまとまった作品だと思う。

No.3930

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