(書評)掟上今日子の遺言書

著者:西尾維新



ビルの7階から中学生の少女は身を投げた。その下を歩いていた隠館厄介は、その下敷きになり重傷。少女もまた、意識不明の重体に。そして、厄介は、その冤罪体質から、マスコミなどではなぜか犯人扱いされてしまう。そして、そんな少女が残した遺言書には、とある漫画家の作品に影響された旨が書かれていて……
シリーズ第4作で、『備忘録』以来の隠館厄介が語り部に。そして、『推薦文』は物語が繋がっている形になっていたものの、一つの事件だけで収束する、という意味では初の(純粋な)長編作品になっている。
この作品の探偵役である掟上今日子は、眠ってしまうと記憶を亡くしてしまう、というのが特徴に鳴っているのだけど、今回はそこは重視されておらず、忘却してしまうが故にスピーディに解決する、という、その「スピーディさ」故に依頼された、という形。で、なぜ、スピーディさが要求されたのか、というと名指しされた漫画家が落ち込んでいて、締め切りがヤバいから(笑)
今回のエピソードは、自殺した少女の動機は何なのか? 勿論、自殺かどうか、というのも含めて。
少女が飛び降りたビルに。名指しされた漫画家、出版社に。さらには少女が通っていた学校に。厄介と今日子は聞き込みに行き、そして、その行動、少女の性格と言ったものを調査していく。まぁ、その中で、今日子の毒舌があったり、はたまた、表紙にあるようにセーラー服を着させられたり……と、キャラクターの掘り下げというか、掛け合いというのを重視した感がある。まぁ、「物語」シリーズでもそうなのだけど、こういうやりとりは著者の得意とするところで、それが遺憾なく発揮された、というところだろう。
で、その真相……。
この真相はアリかナシか? 結構、判断が分かれるかも知れない。何が目的で何をしたのか? この部分については明確。でも、それは理解できても納得ができない、ということはある。ただ……その点について、少女がどういう存在なのか、どういう思考なのかというをしっかりと掘り下げているので違和感を最低限の押さえ込んでいるな、というのを強く感じた。
キャラクターをメインに添えながらも、しっかりを周辺を踏み固めている手堅さ、というのも同時に味わえた、というのが本作の感想。

No.3933

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  • 掟上今日子の遺言書 著:西尾維新 発行元(出版): 講談社 ≪あらすじ≫ 中学生がビルから飛び降りた自殺未遂事件。現場に居合わせた二十五歳の青年・隠館厄介は、生来の冤罪体質が災いし、容疑者とされてしまう。現場には少女が書いたとされる遺書が残されていて―。今日子さんは厄介の疑いを晴らし、事件を解決できるのか?眠るたびに記憶を失う忘却探偵の、タイムリミットミステリ...
  • 2016.02.16 (Tue) 23:45 | 刹那的虹色世界