(書評)十二の贄 死相学探偵5

著者:三津田信三



中学生の悠真は、莫大な資産を持つ大面グループの総帥・幸子に引き取られた。12人の異母兄弟、叔父・叔母との同居生活は、ひとまずの平穏だったが、幸子が死亡し、奇妙な遺言状が公開されると、その関係は一変する……
シリーズ第5作。……なのだけど、冒頭100頁以上に渡って悠真の過去などが延々と描かれ、俊一郎は登場しない。
このシリーズ、元々、怪異とかは起こるものの、そんなに怖い、というタイプの作品ではない。でも、本作の場合、その序盤の悠真パートは、ホラーらしさを感じた。総帥・幸子の死によって公開された遺言。それは、財産はグループに全て渡す、というもの。しかし、それを回避する方法が。それは、悠真が深夜、墓地へと赴き、第2の遺言書を取ってくる、というもの。
有名な占星術師でもあった幸子が残した妙なルール。そして、確かに感じる、背後から何者かの気配。著者の初期の作品のような印象を受けた。そして、その恐怖の結果、ようやく手に入れた第2の遺言状には、それぞれの生死によって遺産の額が変動するというルール。そして、そこから連続殺人が……
ここから俊一郎が登場するのだけど、ここから一気にホラー色が減少。俊一郎、悠真を初めとした多視点で物語が展開。何者かに誘拐されてしまった悠真。その中で次々と起こる殺人。さらに、命の危機にあるのに、相続放棄ということをしない人々……。その中で誰が犯人なのか? という本格ミステリ的展開へと移行していく。それ自体は面白い。
ただ、なんか、真相になると「うーん……」と言う感じになってしまう。後半の謎解きがかなり駆け足な感じになっている上に、なんか、正直、陳腐な真相と言う感じで……。そもそも、犯人視点の話とかあったけど、そのためにアンフェア感まで漂ってしまってどうにも……と感じられてしまった。
っていうか……謎解きとかよりも、俊一郎と婆ちゃんの掛け合い漫才ばかりが印象に残ったのはヒミツ。

No.3934

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