(書評)闘う君の唄を

著者:中山七里



短大を卒業し、新任の幼稚園教諭として神室幼稚園へ赴任することとなった喜多嶋凛。しかし、その幼稚園では、過去のある事件もあって保護者会の発言力が非常に強く、その理不尽な要求に教諭たちは右往左往。そのような中でも、少しずつ理想の教育を実践していこうとする凛だったが……
うーん……正直なところ、物語で描きたかったのはどこなのかな? という感じが何よりも残った。
冒頭に書いた紹介のように、物語は新米の幼稚園教諭である凛が、そこで授業を行っていく、という形で展開。幼いために、色々と問題を起こしがちな園児たち。そして、そんな幼稚園に様々な要求をしてくる保護者たち。そもそもの問題として、二転三転する文部科学省の方針などもある。その中で、振り回される現場。そんなものを描きながら、半ば意地のような形で、保護者会を納得させる演劇を作り上げ、また、時に自分達の非ではないものをうまく利用して保護者会を引き入れる。多少、お約束な展開とかはありつつも、やりたいこともわかる。
もっとも、著者は過去の作品でもあったのだけど、結構、俗論を信じ込んでいるのかな? と感じられる描写があるのは引っかかる。例えば、本作でも「運動会で順位をつけないため、手を繋いでみんなでゴールイン」なんていうのが実際にあるとして描いていている。これなんかは有名な都市伝説。仮にも登場人物が、現役の幼稚園教諭なのに……と感じてしまうのはある。
さらに言うと、そんな流れもあるんだけど、凛の行動も若干、説教臭くて好きになりきれない、というのもある。保護者会とかも問題はあるけど、じゃあ、凛が正しいか、と言うと……という感じ。これは、自分が小学校の頃、独善だけで動くゴミ教師にぶつかって凄く嫌だった、という経験が大きいのだけど。
と言う感じで前半を読み終えたところで、後半に一気に物語が方向展開。凛の過去、保護者会が圧倒的な力を持つ原因となったかこの事件がクローズアップされていく……。……のだけど……ごめん、これが物凄く微妙。そもそも、カラーの違いに戸惑う上に、登場人物が少なすぎるため、犯人が誰なのかバレバレ……。
というわけで、話としてのまとまりとか、そういうがよろしくなく、微妙な感じ。

No.3937

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