(書評)誘拐サーカス 大神兄弟探偵社

著者:里見蘭



探偵社の一員である雨宮黎の前に、死んだはずの父親が現れる。家族を守るために罪を背負ったという父の存在に、黎は戸惑いを隠せない。そのような中、探偵社には、資産家から、アイドル志望の女子高生の娘が消息を絶った、という依頼が入る。WEBを通しての捜索を開始すると、3億円を要求する脅迫の電話が入り……
シリーズ第3作。
今回は、雨宮黎の過去が掘り下げられる。死んだ、と聞かされていた父が生きていた。しかも、その父の過去には、裏の世界で名の知れたカゲロウという男が関わっている。そして……。正直なところ、黎の父親の話と、今回の誘拐の話の結び付け方はちょっと強引かな? という感じはある。なんか、無理矢理に話を加えたような感じがするし。
という風に書いたのだけど、その上での誘拐事件そのものの構造そのものが面白い。
物語は、友彦ら探偵社側の視点、さらに誘拐された被害者・香奈の視点で綴られる。とあるプロダクションのオーディションの一次選考に合格した、として、親に内緒で二次選考へ向かう。勿論、それが誘拐である、ということは読者にはわかっているのだけど、集められた少女たちはそんなことは知らない。いや、それだけでなく、本格的なオーディションとしか思えず誘導されていく。しかも、その犯罪の計画者は何重ものスケープゴートを用意し、計画を遂行していく……。見所は色々とあると思うのだけど、その部分だけでも十分に魅力的な作品じゃないかと思う。
勿論、物語の終盤は、この作品らしく派手なドンパチの連続。海上の客船を巡って、ロケットランチャーが飛び交うとか、どこの『西部警察』やら、『あぶない刑事』だよ! って感じになっているし。それはそれで面白いし、ある意味では見所なのは間違いないのだけど。
ただ、ある意味、悪趣味なのはわかっているんだけど、この誘拐劇の黒幕が考えていた「実験」がもっと続行されていたら、果たしてどのようになっていたのか? というのが気になるところである。かなりエグいんだけどね……

No.3941

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