(書評)トリックスターズ

著者:久住四季



日本で唯一、「魔学部」を持つ名門大学・城翠大学。その新入生であるぼくは、世界で6人しかいない本物の「魔術師」である青年・佐杏冴奈と出会う。折りしも、入学直後に「ゲーム」を称する殺人予告が出され、ぼくは、冴奈の助手扱いをされてしまって……
星読島に星は流れた』のヒットのおかげか、新装版として刊行された著者のデビュー作シリーズ。加筆修正されている、というか、聞くところによるとキャラクターの性別が替わっているとか、結構、違っているみたいなのだが。
ともかく、物語の舞台設定としては、「魔術」というものが実在する世界。とは言え、魔法を使える「魔術師」というのは世界に数人しかおらず、その「魔術」でやれることにも限界がある。例えば、空を飛ぶ、なんていうのは、かつては出来たかもしれないが、現在は喪われた魔術となっている。そのような制約がある中で、事件は発生する。
舞台となったのは後者の屋上。出入り口となるドアは一箇所しかなく、しかも、そこには監視カメラで撮影されている。そこで、顔を切り裂かれるという大怪我をおった状態で倒れていた生徒。カメラには、屋上へ向かう被害者しか映っていなかった。いわば、密室状態の中で起きた事件は、どのような形で行われたのか? 犯人は……?
「魔術」というものがありながらも、ルールに則って論理的に解決を試みる、というのはまさしく本格ミステリのそれ。密室事件の謎、そして、最後にあるひっくり返しなど、デビュー作から抑えるべきところはしっかりと抑えていたのだな、というのを強く感じる(実は、私は、著者のデビュー作である本シリーズだけは未読だったりする)
ただ……個人的に1つだけ引っかかったのは、「魔術」の設定についての部分。魔術には制約がある、というのは出てくるのだけど、じゃあ、何は可能で何は不可能なのか、という線引きがイマイチ不明瞭なので、読みながらこれかな? という予想を立てるのが難しいと感じること。作中で出てくる「これは可能な魔術」「これは不可能な魔術」の範囲内でトリックが描かれているのでアンフェアとかではないのだけど、アンフェアな形もあるんじゃないか? という疑念をどうしても持ってしまったのだ。
でも、面白かった。
毎月2巻ずつ新装版が出る予定みたいなので、溜めないうちに次巻も読まねば……

No.3944

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