(書評)陽気なギャングは三つ数えろ

著者:伊坂幸太郎



いつも通り強盗という一仕事を終え、雪子の息子が働くホテルへ顔を見に行った4人。そこでメンバーの一人、久遠は、失踪中のアイドル・宝島沙耶を追う雑誌記者・火尻が暴漢に襲われているところに遭遇する。火尻を助けることは出来たものの、そこで自分達が強盗団であることに感づかれてしまう。直後からメンバー周辺で異変が起こり……
前作から9年ぶりに刊行されたシリーズ第3作。大分、過去作の記憶が薄れていたり……。でも、久々だったのだけど、てきとーなことを言っているだけなのに妙に印象的な響野。動物に関しては饒舌になる久遠。リーダー格の成瀬……。それぞれのキャラクターは魅力的だし、そのやり取りは素直に楽しい。
今回の敵は、冒頭に書いた記者の火尻。記者と言っても、悪質な記者で、関係者のプライバシーなどをセンセーショナルに書き上げ、そして、数多くの人々を不幸に追いやってきた。そして、今回、標的に狙っていたアイドルのスクープを取り損ねた火尻は、強盗である4人を標的に。火尻の要求は、彼が賭博上で作った借金を帳消しにするよう働くこと。それが出来ないなら、正体を公表する、と……
組織とか、そういうものがあるわけではない。けれども、記者として磨いた勘のよさ。そして、一応は表側の人間で、強盗団は裏の人間と言う立場。そして、4人だけでなく、その家族など周囲に迷惑をかけてしまう。つまり、人質がいる中で動かざるを得ない。さらに、火尻を襲った側、という存在もいるし……
火尻をどうにかしなければならない。しかし、状況として火尻の思惑に乗る形を取らざるを得ない。そこからどうやって逆転していくか……。それぞれの行動がバラバラに行われていくその作戦がどう繋がっていてくかと思えば……。冷静に考えると、結構、強引にも思えるのだけど、キャラクターの魅力でその欠点を上手く補っている、というのを感じた。
それはそれとして、前作ではまだ幼かった雪子の息子が本作ではすでに大学生。そういう意味では、作中の時間も現実の時間と同じように経過している、ということ。ということは、主要キャラクターたちも、(読んでいる最中は感じなかったけど)相応に歳を重ねている、ということになるんだな……と今更ながら思ったり。

No.3954

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COMMENT 2

苗坊  2016, 03. 13 [Sun] 13:07

こんにちは~^^同じ頃に読まれていたんですね~。
9年ぶりの新刊という事でしたが、私は2作目を去年読んでいたので少し覚えていました(何年も前から持っていたのにもったいなくて読めていなかった)
4人とも相変わらずだなぁと思ったのですが同じく、雪子や成瀬の子供が大きくなっているのを知って同じように年を重ねているんだなぁと思いました。
久遠とか印象は20歳前後のままなんですけどね^^
話も面白かったですが、火尻とのことは根本的には解決してないけど大丈夫かなとちょっと不安にもなりました^^;

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たこやき  2016, 03. 26 [Sat] 13:20

苗坊さんへ

本当、久々ってことはあるんですけど、喋り方とか変わっていないだけに、子供が大学生とか、就職とかって聞くと……という感じです。
……小路幸也さんの『東京バンドワゴン』とかもそうですけど、すっかり、気分は久々にあった親戚のおじさん(笑)

確かに、火尻の話は根本的には解決していないですけど、火尻もそれどころじゃないでしょうし、大丈夫じゃないでしょうか?

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