(書評)あなたの人生、逆転させます 新米療法士・美夢のメンタルクリニック日誌

著者:小笠原慧



大学院にまでいったものの、就活に失敗してしまった美夢。何とか滑り込み就職することが出来たのはベッドタウンに居を構える個人経営のメンタルクリニック。しかし、変人だと思った院長の奥田は、伝説の名ドクターで……
『脳内汚染』などの擬似科学書でおなじみのトンデモ本作家・岡田尊司氏の別名義での小説。とりあえず、読んで思ったのは……
小笠原慧名義なのにポルノ小説じゃないだと!? Σ( ̄□ ̄;;)
岡田尊司名義の『脳内汚染』などで、「暴力表現などは、子供に悪影響だから法規制しろ!」などと唱えながら、自らは性描写、暴力描写だらけの小説を書く、というダブルスタンダードっぷりを楽しみにしていたのだが、残念ながら本書では、そういう描写がない。ちぇっ!
……まぁ……冗談はともかくとして……
読みながら思ったのは、この作品は一体、誰に向けた作品なのだろうか? ということだったりする。
物語は、クリニックを訪れる患者の診察をし、その原因を探り、その解決策を考察する……という連作短編の形式を取る。この作品の感想を見ていると、「勉強になった」みたいなものがあるんだけど……何か、個人的にエラく中途半端な作品集という評価にしかならなかった。
まず、本作をエンタメ作品であると考えた場合……これは純粋につまらない作品といえる。
患者がきました。その抱えている状況について聞き取りをしました。すると、実は家庭内などに問題を抱えていました。そして、奥田はそれを指摘し、勇気を出して一歩を踏み出すようにしたら、あっという間に解決しました。そんな話を繰り返すだけだから。患者の親は、皆、離婚していたりするし、後半になると、どーせ、家庭内に問題があったんでしょ? という感じになってしまう。しかも、1回、2回の診察で解決します、なのでどうにも上手くいきすぎだろう、と思えてしまう。
じゃあ、精神医療とかの話についての話としては信頼できるか、というと……。ヒロインである美夢が夢占いで、色々と先読みできる、っていうファンタジー要素が入るため、その時点でリアリティには欠ける。まぁ、私は著者の「愛着障害」などについての書籍は読んでいないのだけど、著者は『脳内汚染』などの書において、結論ありきで論文や統計などから都合の良いところだけを抜き出して全くもとのデータとは異なる印象にデータを改竄してしまう悪癖の持ち主。まして、本書の場合、小説ということで参考文献などはないため、どこまでは科学的に研究されたものなのか、どこからは想像なのか、どこからが捏造なのかわからないから余計に。
エンタメ作品としては見所がなく、学術的な価値なども見出しづらい一冊。

No.3956

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