(書評)機動執事 とある軍事ロボットの再就職

著者:松山剛



リーゼロッテはお嬢様は、私、ベルンハイトが敬愛する、容姿端麗な主人である。しかし、最近、そんなお嬢様の様子がおかしい。私と話をする際、主に顔周辺の体温の上昇と、心拍数の増加が認められ、また、ご友人に進められた「少女マンガ」なるものを熱心に読んでいるご様子で……
人間の心を持った機械(?)と人間の関係、っていうのは、著者が数多く描いた作品で、本作もそのパターンといえる。ただし、本作はかなりコメディ寄り。
とにかく、基本は互いの思考パターンの大きなすれ違いっぷり。
主人公たるベルンハイトは、そもそもが機械。その思考パターンは、お嬢様・リーゼロッテの身の危険を回避する、ということであり、そのために常に冷静沈着に、そして合理的に情報を処理する。それは、軍事ロボットであった過去の自分の上官であり、リーゼロッテの父の最期の命ではあるのだけど、でも、勿論、リーゼロッテのことを大事に思ってのこと。でも、そこに恋愛とか、そういう感情と言うのは含まれないので、そのような感情を、というリーゼロッテの行動には疑問しか抱けない。
対してリーゼロッテはリーゼロッテで恋愛とか、そういう経験はなく、友人の渡してきた(ベタな)マンガ情報を用いるので、そもそも行動が奇行にならない。まして、相手であるベルンハイトがロボットであることを忘れるから余計に。
……結論。リーゼロッテが助言を求めたフローラが悪い!(ぉぃ) いや、だって、ベルンハイトが機械である、ということを理解した上でやれば、何とかなっただろうに……としか思えないし。
ただ、そんなドタバタなのだけど、同時にリーゼロッテは、軍用ロボットの規制というのを世間にアピールし、一種、その象徴的な存在になっている。一方で、ベルンハイトは、リーゼロッテにも隠しているが、その軍用ロボットであった存在。そのような環境の中で、リーゼロッテを狙っての事件が起こって……
正直なところ、途中まではこの部分って何か必要なのかな? と思ったところもあるんだけど、単刊で話をまとめるとすると、この設定を出しておいて良かったのだろうと思う。そうでないと、延々とすれ違いによるドタバタに収集がつかないし。ラストシーンは……本当に記憶を喪ったのか? それとも? そのどちらの解釈にするのか? でも印象が異なる気がする。

No.3957

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村


スポンサーサイト

COMMENT 0